2019年2月25日にバルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)に表示された5Gのディスプレイ(Josep Lago / AFP / Getty Images)

中国、全人代で「新インフラ」に言及 専門家「中国製造2025そのもの」

全国人民代表大会(全人代、国会相当)は5月22日、開幕した。同日、李克強首相が政府活動報告を行い、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画の代わりに、「新インフラの整備」に言及したことが注目された。

李首相は、政府活動報告の冒頭で、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のパンデミックと世界経済の不確実性を理由に、2020年経済成長率の数値目標を「設けない」と表明した。当局は、昨年に挙げた雇用や金融システムなどに関する「6つの安定(六穏)」政策を再強調した。また、食料・エネルギーの安全や産業・サプライチェーンの安定を守るなどの「6つの保護(六保)」政策方針を提示した。雇用市場を守ることが今年の最優先任務だと示した。

首相はさらに、「新インフラの整備や建設を強化する。次世代の情報ネットワークを発展させ、第5世代移動通信システム(5G)の応用、充電スタンドの整備や新エネルギー自動車の生産を拡大していく」などと発言した。「中国製造2025」については触れなかった。

専門家は、中国当局の「新インフラ建設」計画は、実質的に「中国製造2025」計画そのものであるとの見方を示した。

時事評論家の李林一氏は大紀元に対して、「中国当局のハイテク産業振興策である『中国製造2025』に対して米政府が警戒しているため、中国当局は政策の呼び名を『新インフラ』に変えただけで、中身は変わっていない」と述べた。同氏は、ハイテク産業における中国共産党政権の世界覇権の野心は変わっていないと指摘した。

中国国家発展改革委員会は4月20日に開いた記者会見で、「新インフラ」の範囲について、情報のインフラ、統合のインフラ、革新的なインフラの3方面があると初めて示した。このうちの情報インフラには、5G網やモノのインターネット(IoT)を含む通信ネットワーク・インフラや、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングを含むコンピュータ情報処理・インフラなどがある。同じく5G通信網、ビッグデータ、AI、無人生産工場などの発展を提唱する「中国製造2025」に重なる。

中国メディアの報道によると、4月下旬以降、中国の20以上の省政府が次々と「新インフラ整備」計画を打ち出した。金額規模は数兆元(数十兆円)にのぼるという。

背景には、中共ウイルスのまん延がある。感染拡大によって中国と各国の市民は外出を規制され、生産活動が休止になったことで、中国経済の重要な柱である個人消費と輸出は壊滅的な打撃を受けた。中国当局は「新インフラ整備」を景気対策とし、投資を呼び込もうとしている。

中共ウイルスの発生源である中国湖北省武漢市は、中国の製造業、とりわけ自動車産業の重要な拠点で、「中国製造2025」の本拠地である。武漢市は昨年11月、全国で初めて、AI技術を使った自動運転バスの運行サービスを開始した。武漢市政府が感染拡大防止のためにとった都市封鎖措置は、「中国製造2025」計画に影響を及ぼしている。

(翻訳編集・張哲)

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