【紀元曙光】2020年6月5日
あれから31年が過ぎた。と、前日と同じ書き出しをお許し願いたい。
▼思い起こせば、断片的ながら31年前の記憶が次々と湧いてくる。1989年3月まで、筆者は留学生として中国にいた。選んだ留学先は北京ではなく(当時は)美しく静かな地方都市だった遼寧省の大連である。
▼筆者が3月に帰国した後のことは、残っていた同級生に後日聞いた。改革派だった胡耀邦が死去した4月15日ぐらいから、政治改革を求める学生たちが、北京や上海で活動するようになった。5月15日、ソ連のゴルバチョフ氏が訪中。世界が注視する中で、携帯もパソコンも普及していない時代だが、各学校の学生たちは天安門広場に集まり続けた。
▼そんなある日、大連の党幹部らしき人物が来校して、外国人学生(20人ぐらいか)を一室に集めた。聞いたのは「君たち、何か日常で困っていることはないか?」。あまりにとぼけた話に、日本人の才気ある女子学生が「今、北京で何が起きているのか。それを私たちは知りたいのです!」。すると相手の態度が威圧的になり、「そんなこと、知ろうとするな」という意味のことを言った。かなり一方的に、べらべら演説したという。
▼六四の翌日。6月5日の北京天安門前の大通り(長安大街)で、一人の男性が路上に立ち、進む戦車の車列を止めた。その人物が誰だったのか、その後の生存もふくめて、一切分からない。
▼六四の後、筆者が留学していた大連の学校で、祖国の惨状に絶望したためか、一人の若い日本語教師(中国人)が自殺した。筆者は面識がないが、いい人物だったそうだ。
関連記事

健康的とされる甘味料「エリスリトール」が、実は血管や脳に悪影響を及ぼすかもしれないという研究結果が発表されました。

関節炎、がん、認知症、うつ…。「治らない」とされてきた慢性疾患が、生活習慣の改善で“逆転”した症例が続々報告されています。諦めずに、希望の声を信じて。

玉ねぎは冷蔵庫に入れると逆に傷みやすい?風味を損なわず長持ちさせるには「温度・湿度・包装」が鍵。知らないと損する保存術をご紹介します。

目の疲れや体の不調に効く「行間」のツボをご紹介。高血圧やストレスを和らげ、肌の輝きも取り戻せるセルフケア法を今すぐ試して、心身のバランスを整えましょう!

唐の時代、雪に包まれた上苑で女帝・武則天の心は曇り、冷えた空気がその憂いを深めていました。彼女はその心情を詩に込め、明朝に百花を咲かせるよう命じるのでした。