韓国、北朝鮮に全ての南北合意の履行求める 報復措置の示唆受け

[ソウル 14日 ロイター] – 北朝鮮が韓国の脱北者団体の活動を批判、同国に対する報復措置を示唆したことについて、韓国統一省と国防省は14日、それぞれ声明を発表し、北朝鮮にこれまでの南北合意を全て履行するよう求めた。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長は13日、最近の脱北者団体による体制批判ビラ散布を巡り談話を発表し、武力行使など、韓国への報復措置を示唆した。朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。

この談話に対し、韓国統一省は「(韓国)政府は現在の状況を深刻に受け止めている」と表明。国防省は「あらゆる状況」に対応する用意があると表明、北朝鮮軍による行動を注意深く監視しているとした。

韓国大統領府によると、同国は14日、朝鮮半島の現在の状況を巡り、国家安全保障会議(NSC)を開いた。詳細は明らかにしていない。

韓国と北朝鮮は2018年の首脳会談で「朝鮮半島の完全な非核化」と「敵対的行為」の終結に向け取り組むことで合意した。今月15日には両国間の対話促進や協力関係強化を打ち出した初の首脳会談と南北共同宣言の20周年を迎えるが、その直前に両国間の緊張が再燃した。

アナリストは、非核化協議が停滞する中、北朝鮮はビラ配布の問題を利用して韓国への圧力を強めているようだとの見方を示している。

ベルギーを拠点とする独立系の非営利団体「国際危機グループ(ICG)」のシニアアドバイザー、Duyeon Kim氏は「ビラは、要求をつり上げ、危機的状況を作り上げて韓国を威嚇し、目的を達成するための口実だ」と指摘。

同氏は、北朝鮮の反応について、核施設を閉鎖すれば米国が一部の制裁を解除するとの韓国の予測によって欺かれ、裏切られたと感じてるとし、ビラの問題や米韓軍事演習が続いていることにいら立ちを覚えているとの見方を示した。

同氏は「彼らは韓国が環境を変えるために何もしていないことにいら立ち、米国との核協議に関わらないよう、くぎを刺している」と述べた。

*内容を追加しました

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