EU、新型コロナでプラごみ増加リスクも=欧州委員

[ブリュッセル 10日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のシンケビチュウス委員(環境担当)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景にした原油安で再生プラスチックの需要が激減する可能性への懸念が欧州で高まっていると述べた。ただパンデミックによる影響を明確に示す十分なデータはまだないという。

新型コロナの感染拡大を抑制するためのロックダウン(都市封鎖措置)が世界で導入される中、化石燃料の需要減少で原油価格は今年急落。これにより、バージンプラスチックの価格が再生プラよりも安くなっており、リサイクル率を改善させるEUの計画に支障が出る可能性がある。EUは年間約2600万トンのプラごみを排出しており、このうち再生利用されているのはわずか30%だ。

シンケビチュウス委員はロイターの書面インタビューで、「原油安による再生プラ市場への影響について懸念している。使い捨てマスクや手袋の廃棄についても懸念される」と述べた。

その上で、「現時点では新型コロナ危機がプラごみの生成や分類、リサイクル、廃棄に及ぼす影響に関して信頼できる結論につながる十分なデータを収集できていない」とした。

欧州のプラスチック再生工場はパンデミックで稼働の制限を余儀なくされている。景気悪化で企業が環境目標を棚上げする中、需要が落ち込んでいるとの声もある。

ただ、シンケビチュウス委員によると、企業は現時点では2025年までに新たな製品に1000万トンの再生プラを使用するというEUが定めた任意の目標を達成する見通しだという。

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