南シナ海に巡る米中対立 香港メディア「北京が衝突回避と米に伝えた」

南シナ海での米中対立が高まるなか、領有権を主張する中国に対して、米国は空母を派遣するなど対抗する姿勢を見せている。軍事衝突の引き金になりかねないが、サウスチャイナ・モーニング・ポストは8月11日、関係者の話として、北京は情勢の激化を回避させるために、中国海軍に米軍戦艦を相手に冷静を保つよう命じたと報道した。また、衝突を回避すると水面下で米国に接触したという。

米軍は先月、空母「ニミッツ」「ロナルド・レーガン」、そしてB-52戦略爆撃機を南シナ海に投入し、軍事訓練を行った。米軍が訓練に空母2隻を派遣するのは稀なことだ。さらに、偵察機が広東省および福建省などの中国近海で夜間偵察も行った。

同報道はまた、軍事関係者の話として、北京は「複数のルート」を経由して、米国政府に接触したと伝えた。北京は「友好的」な姿勢を見せ、「南シナ海情勢がコントロール不能にならないよう、絶対に先に攻撃しない」と約束したという。

報道は、中国政府が米軍空母を「張子の虎」と貶し強硬姿勢を貫いているが、実際のところ偶発的な軍事衝突を慎重に回避していると分析した。

同関係者は、「衝突が起きると、米中双方が局面をコントロールできなくなる。緊迫した現場では偶発的な衝突のリスクが大きいため、今まさに一触即発の状態だ」と強調した。

8月6日、マーク・エスパー米国防長官は魏鳳和・国務委員兼中国国防部長との緊急電話会談で、中国が南シナ海および台湾周辺の安定を破壊する行動に懸念を示した。米中国防長官の会談は3月以来だ。

米国防総省のジョナサン・ホフマン報道官によれば、「エスパー長官は中国が国際法に沿って、規則と秩序を守る行動をとることが重要だと強調した」という。

米国防総省は双方が「危機管理、リスク軽減、誤った判断を回避するために、協議・対話する体制を整える」点で合意したと発表した。

7月9日、王毅中国外相は、対話の再開、米国との平和共存を呼びかけ、米国と全面対立するつもりはないと弱気な発言をした上に、南シナ海は周辺諸国の「共有の財産」と称した。

中国共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室の楊潔篪(よう・けつち)主任は共産党機関紙に文章を発表した。「誤ったことを批判、正しいことを称賛、米中関係の土台を維持した上で、各分野で協議を広げるべき、米中対話の扉を閉じることは絶対ない」と述べた。

中国外務省の楽玉成外務次官は11日のインタビューで、米国に対して「どんなに困難で複雑な問題でも、テーブルに上げて疎通しなければ」と対話の意思を表示し、「私はいつでも米国と対話する準備ができている」と強調し、米国との対話を求めた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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