中国本土の不動産市場の取引減少により、GDPは最大で10%程度の下落となるという(Photo by China Photos/Getty Images)

中国、不動産取引減少でGDP10%減少か=米学者

国際金融学の権威、ハーバード大学のケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)経済学教授は最近、「中国本土の不動産市場は『潜在的な不安定のピーク』に達しており、取引減少の影響で中国国内総生産(GDP)は最大で10%の下落となるだろう」と指摘した。

ブルームバーグ8月17日付によると、ロゴフ教授と清華大学の楊元琛教授はこのほど、中国本土の不動産に関する論文を共同執筆した。

論文によると、中国で数十年続いている不動産ブームが価格と供給の不均衡を引き起こし、市場は「潜在的な不安定のピーク」に達しているという。中共ウィルス(武漢肺炎)の流行による経済的打撃も加わり、世帯収入と人口増加が鈍化しており、今後も下降傾向が続くと予想されるという。

また、不動産業は上流産業のセメントや鉄鋼および下流産業の家具、電化製品、サービス産業とも密接に結びついていることから、住宅活動の落ち込みの影響は経済全体に拡大する可能性が高い。

同論文は、不動産とその関連産業が中国のGDPの約29%を占めていると推定した。「金融危機の影響を受けなくても、不動産活動が20%低下すれば、GDPが5~10%低下する可能性がある」と主張した。

さらに、中国当局が不動産市場に介入したとしても、現状では「住宅価格が上昇し続けるというケースと比べて、適度な値下げのほうが、かなりのリスクをもたらす可能性がある」と指摘した。

大紀元コメンテーターの文小剛氏は、「中国大陸の不動産は典型的な負債依存度の高い、資本集約型の産業である。多くの不動産会社は、早く資金を回収できるように、土地取得、開発、販売を素早く行っている。販売がつまずけば、資金が還流できず、巨額の負債が企業を押しつぶすでしょう。これは、多くの不動産会社が中国当局の不動産バブル抑制政策の下で、価格を下げ、販売を促進する理由でもある」と述べた。

同氏は「多くの金融機関が不動産市場に資金を投入したため、中国当局は不動産価格の下落を許さないだろう」との考えを示した。

同氏はまた「不動産価格が急激に下落すれば、景気後退、失業、所得の減少と相まって、多くの人々は住宅ローンを返済できなくなり、銀行は大量の住宅を差し押さえるでしょう。しかし市場が良くないため、これらの住宅は競売にかけても良い値がつかず、銀行の不良債権が大幅に増加する。だから、中国当局は、住宅価格を下落させるのではなく、バブルが弾けないように不動産抑制政策を実施したのだ。ここ数年、当局による措置の下で、住宅価格は依然として上昇しつづけている」と述べた。

現在、中国当局は、不動産会社のレバレッジが高すぎることを危惧している。当局は、現在の景気後退で不動産市場が金融リスクを誘発する可能性があるとし、不動産会社のレバレッジを強制的に下げ始めた。

中国メディア「21世紀経済報道」は15日、5人の金融専門家の話を引用し、「中国の規制当局が不動産会社の債券発行規模をさらに縮小した。不動産企業の借新還旧(既発行の債券の償還のために新しく債券を発行すること)の債務発行規模は70~90%に限定された」と報じた。

(大紀元ウェーブチーム)

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