中国、マレー半島切り開く新運河建設案でタイに接近 マラッカ海峡を回避=印報道
タイ南部マレー半島の最も狭い部分であるクラ地峡は、中国支援の計画により拡張工事が行われる可能性がある。これは、日本にとっても重要なエネルギー航路であるマラッカ海峡を避けて、国際物流利権を狙っている。インドは、インド洋諸島のインフラ整備で中国の計画に対応しようとしている。
クラ地峡は、マレー半島のタイ北部にあり、西側インド洋アンダマン海と東側タイ湾に挟まれた陸地部が最も狭くなっている地域。最も狭い距離なら50キロほどしかない。ここを開発してクラ運河が実現すれば、マラッカ海峡を通過するよりも1200キロ短縮できるという。
このクラ地峡の運河計画は、古くは17世紀にタイのナライ王によって最初に提案され、英国の東インド会社は19世紀初頭に関心を示した。航路短縮や海賊回避など利点も多く、日本政府もタイ政府や議会の動向をうかがっていた。いっぽう、中国の一帯一路構想にも魅力的に映っており、インド紙によれば中国当局はタイで数年かけてロビー活動を行っているという。
ユーラシア・タイムスによると、2020年初め、タイ議会はクラ地峡の開発に関する調査特別委員会を設置した。タイ議会は反中派政党でさえ、与野党がクラ運河構想に前向きだという。しかし、タイ国王はクラ運河に反対している。
クラ地峡の地理は、中国がインド洋諸に海上インフラを構築している「真珠の首飾り」戦略にも合致している。中国はイラン、パキスタン、スリランカ、ミャンマーなどの港湾を通じてインド洋の支配的地位を確立しようとしている。
インドのヒンドゥスタン・タイムズは、中国が支援して建設するクラ運河の最大の受益国は中国となり、混雑するマラッカ海峡への代替ルートを中国政府に与えることになると報じた。
この計画に対抗して、インドは、自国の裏庭にある南シナ海の経済安全保障のために、インド洋の島嶼部の急速なインフラ整備を計画している。アンダマン・ニコバル諸島を軍事およびインフラ開発し、対中国シーレーン防衛に臨む。
同紙によると、これらの島嶼部の開発は、インドにとって経済的利益を最大化でき、また、インド洋地域における軍事的プレゼンスを高めるという。
「アマンダン・ニコバルは世界で最も交通量の多いシーレーンにあり、世界貿易の半分以上がこのルートを通っている」「この二つの島の領海は、インドにとって新しい空母のようなもの。中国本土から遠く離れた地域にまで海軍の勢力範囲を広げることができる」と軍幹部は同紙に述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)