那个(ネガ)は黒人差別? 中国語表現を解説した米教授、学生に批判され休職処分

米国南カリフォルニア大学のコミュニケーション学教授は、黒人差別用語に似た中国語の表現を使用して、「精神衛生を損なった」と学生から非難され、休職処分となった。同大学学生新聞USCアネンバーグ・メディア(Annenberg Media)などが伝えた。

同大学マーシャル・スクール・オブ・ビジネスで20年以上教壇にたつグレッグ・パットン(Greg Patton)教授は8月20日、学生にオンラインで授業を行っていた。教授は、米IT大手アップルの創業者スティーブ・ジョブス氏(故人)の対人交流を例にして、間を取ることについて解説していた。

「中国本土の言語では、『あれ』を意味する言葉は『那个』 (ネガと発音)である」「このため中国では 、あれ、あれだよ、あれ。というような言い方のとき、ネガ、ネガ、ネガとなる」 と教授は述べた。

報道によると、この講義は学生たちから大きな反発を呼び、学生たちの中にはパットン教授が人種差別表現をしたと批判する者もいた。中国語の「那个」によく似た発音の英語スラングであるnigger(ニガー、黒んぼ)は、黒人を侮辱する意味がある。

米メディア、ナショナル・レビューが入手した電子メールによると、学生連合は大学関係者に、パットン教授は「私たちのクラスの黒人生徒全員を怒らせた」と報告したという。

学生たちは、授業を放棄して単位を落とすほうが、「文化の多様性や繊細な配慮をせず、ひいては私たち黒人学生にとって歓迎されない教師と一緒にいる精神的疲労に耐えるよりましだ」と、大学に対して強い不満を示した。

学生連合は、「最近続いている全米各地での集団的抗議と社会的目覚めを考えると、このまま問題を放置することはできない」と訴えている。

学生新聞によると、同大学広報担当はパットン教授に対して「短期間の休職」措置が取られており、別の教授がパットン教授の講義を引き継いでいるという。

パットン教授は、マーシャル・スクール・オブ・ビジネス米中研究所に所属し、中国や韓国文化を研究している。上海交通大学でも講義を行ったことがある。

教授はこの騒動後、学生に宛てた手紙の中で、授業中の発言は中国語の言語と文化に関する説明だと釈明したうえで「聞き手が自分の経験にもとづいて聞いているということについて、認識が不足していた」と記している。

パットン教授に対しては同情的な声が上がっている。学生新聞は、同大学に短期在籍中の韓国人学生の声として「(批判は)話の誇張から来ているのではないか。教授に悪意があるとは思えない」と伝えた。ソーシャルサイトでも「ただ差別用語に似ている外国語表現を使っただけでクビにさせられるなんて、信じられない」「那个(ネガ)は一般的な表現で『あれ』という意味だし、教授の解説は正しい」と、批判や処分が解せないとする声が多い。

(翻訳編集・佐渡道世)

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