中国で「歩きスマホ」行為に罰金を科せるようにする法案が各地で導入されている。罰金は最大で200元。イメージ画像。2020年3月17日、中国の上海でスマホをチェックする女性 (HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)

中国の都市、市民を「文明スコア」で格付けするアプリを導入するも、反発でキャンセル

中国社会信用制度は、人工知能を使って大規模な監視を行い、市民の行動に点数をつけているとしばしば批判されてきた。これはまるで、ジョージ・オーウェルが小説 『1984年』 で描写したような監視社会のようだ。

中共ウイルス(新型コロナウイルス)が大流行した時、SNS大手のWeChatは「健康コードアプリを立ち上げ、表面上は中共ウイルスの拡散を封じ込める目的で、当局が人々の動向を追跡できるようにした。しかし、一部のサイバー専門家は、中国政府が同プラットフォームを武器化し、反体制派の監視と弾圧を強化するのではないかと懸念している。

9月3日、江蘇省蘇州市は「文明コード」を導入した。これは市民を民度で格付けし、点数が低ければ罰を与えるものだ。

しかし、世間の大きな反発の中、導入から3日後に当局は計画を棚上げすると発表し、「適切な時期」を待って実施すると述べた。

蘇州市警察局はWeChatの投稿で、18歳以上の全住民はこの市政府のアプリをインストールする必要があり、アプリには新たに「文明コード」機能が加えられていると述べた。

当局によると、このアプリは蘇州市警察と市政法委員会が共同で発表したもので、主に蘇州市内のさまざまな健康コードを集約するために使用されているという。

国営新聞、南方都市報の報道によると、「文明コード」は以下のように機能するという。初めは全員に1000点が与えられ、規則に違反すると減点される。「下限」に達した人は罰せられるが、当局はどのような罰が科されるかについては詳細を明らかにしていない。

蘇州市当局によると、「文明スコア」が高い人は、仕事、生活、就職、学業、娯楽の面で優遇されるが、具体的な方法は説明されていない。

市によると、このアプリは「社会的信用システム」と統合されるという。中国政府は「社会的信用システム」を使い、オンラインでの購入、日々の行動、友人関係などの幅広い指標で全ての国民を評価している。中国の経済学者、何 清漣(かせいれん)氏は以前、「社会的信用システム」について「政府を批判するコメントをすると信用不良者の格付けをされる」とシステムの悪用を危惧した。

多くのWeChatユーザーは、蘇州市のこの計画を聞いて憤慨した。イギリスのSFドラマシリーズ『ブラック・ミラー』の世界に住んでいるようだと言う人もいた。このドラマのあるエピソードでは、人々が交流するたびにお互いを評価し、そのスコアが自分の社会経済的地位に影響を与える世界を描いていた。ネットユーザーたちは、「文明スコア」が生活のあらゆる側面に影響を及ぼすことを憂慮した。

また、「文明コード」は中国政府がプライバシーを侵害し、すでに人工知能で強化された国民の監視をさらにエスカレートさせるものだと述べた。

時事評論家の田園氏は、「文明コード」を人民を弾圧するための道具と見ている。同氏はインタビューで、「当局の政策に公然と異議を唱える人は、みんな低い点数で処罰されるだろう」と話した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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