【紀元曙光】2020年9月20日

今日は、イタリアの女優ソフィア・ローレンの誕生日。

▼1934年、ローマ生まれ。ご本人が存命なのが、映画のオールドファンにとってはたまらなく嬉しい。日本の映画評論家・淀川長治さんが生前に、たしかテレビの『徹子の部屋』だったと思うが、こんな意味の言葉を遺している。「いい映画をたくさん見なさい。映画は娯楽ではありません。教育なのです」。

▼おっしゃる通り。映画という架空世界は、観客に、人生をとことんまで向き合わせてくれる。映画の「寅さん」のような根なしの放蕩ものがいたら、家族はさぞ大変であろうが、あれほど無私の愛を具現化したキャラクターは他にはいまい。自分が大好きなマドンナが他の男の妻になったとき、その幸せを祈り、粋に、静かに去るのだから。

▼日本で最も有名なソフィア・ローレンの映画といえば、1970年の『ひまわり』だろう。新婚わずかにして、イタリア軍の徴兵により、愛する夫はソ連の戦場へ送られてしまう。酷寒のなかに倒れた夫を助けたのは、ロシアの村娘だった。

▼もう祖国へ帰れないと悟った夫は、村娘と新たな夫婦となる。そこへ、なんと妻が現れる。夫を探すために万里を越えてきた妻が見たのは、異国で新しい生活を始めていた元の夫だった。帰途の車内で号泣する妻。時は過ぎ、ロシア人の妻の理解を得た上で祖国イタリアに帰った夫だが、はじめの妻は、もう他者の伴侶となり、子どももいた。

▼妻、夫、ロシア人の妻。三者三様の愛のかたちが、ひまわりの背景と、美しすぎる音楽に映える。秋の夜長、古い名画に浸るのも、わるくない。

関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。