中国民間シンクタンク「恒大研究院」は調査報告書で2021~25年まで、中国の60歳以上の高齢者が3億人を上回ると指摘した(FRED DUFOUR/AFP/Getty Images)
中国民間シンクタンク「恒大研究院」は調査報告書で2021~25年まで、中国の60歳以上の高齢者が3億人を上回ると指摘した(FRED DUFOUR/AFP/Getty Images)

中国の高齢者人口、5年内に3億人突破

中国民政部(省)養老サービス司の李邦華副司長は10月23日の記者会見で、2021~25年までの5年間、中国の60歳以上の高齢者の人口は3億人を超えると明らかにした。同氏は中国の高齢化が急速に進んでおり、当局の「養老サービスが一段と厳しい局面に直面する」と示した。

中国の民間シンクタンク、恒大研究院は今月、出産調査報告書、「中国生育報告2020」を発表した。同報告書は、2021~25年にかけて、中国の人口は「マイナス増長」になると予測した。また、2022年に、総人口に占める65歳以上の国民の割合は15%以上となり、33年には同割合が20%以上に達し、中国は超高齢化社会に突入すると指摘した。

同報告はさらに、「日米韓などの各国では、総人口に占める高齢者の割合が12.6%に達した時、1人当たりの国内総生産(GDP)がすでに2万4000ドル(約251万円)を上回った。これに対して、中国の1人当たりのGDPは1万ドル(約105万円)程度にとどまっている。これは、中国社会は、豊かになる前に老いるという深刻な状況に陥っていることを反映している」との見解を示した。

中国問題専門家の薛馳氏は、以前の大紀元とのインタビューで、中国当局が今まで厳しく実施してきた「計画生育(出産)政策」が、人口構造のアンバランスを招いた最大の原因だとした。また、当局が伝統文化を破壊したため、家族間で高齢者を扶養する伝統的な考え方がなくなり、「政府が高齢者介護サービスの課題を解決しなければならなくなった」。しかし、「中国当局は年金制度や社会福祉への財政投入が非常に少ないのが現状」と同氏は批判した。

近年、中国では少子高齢化が進んだため、生産年齢人口や人口ボーナス(総人口に占める働く世代の割合が増え続けて、経済成長が後押しされること)が激減した。中国当局は出生率の上昇を促そうと、2016年「二人っ子政策」の実施を決定した。しかし、一般市民の多くは、住宅ローン、医療費、教育費などの負担が大きく、「産めても養えない」との不安を抱いている。このため、同政策の効果は限定的だ。

2019年、中国本土の出生率はわずか10.48%だった。1949年以来の過去最低を記録した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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