中国遼寧省瀋陽市にある国営自動車メーカー、華晨汽車集団の工場(Getty Images)

中国、国営自動車メーカー大手がデフォルト、元本など164億円未払い

中国遼寧省政府の管理下にある国営自動車メーカー、華晨汽車集団(以下は華晨汽車)は、10月23日に償還を迎えた社債をデフォルト(債務不履行)したことが明らかになった。

中国メディア「財新網」などによると、同省瀋陽市に本拠地を置く華晨汽車は、2017年10月に発行した社債「17華汽05」をデフォルトした。同社は元本の10億元(約156億円)に加えて、元利金5300万元(約8億円)の支払いが滞っている。

華晨汽車の従業員は4万7000人。同社の資産総額は1900億元(約2兆9689億円)で、傘下の子会社は160社以上にのぼる。なかに、ドイツ自動車大手BMWとの合弁メーカー・華晨BMWと、フランス自動車大手ルノーグループとの合弁会社・華晨ルノー金杯の認知度が高い。特に、華晨BMWは、グループ全体の売上の大半に貢献している。

「経済観察網」26日付によれば、2019年、華晨のグループ全体の乗用車販売台数は72万1800台で、そのうち、華晨BMWの販売台数が54万5900台で、全体の76%を占めた。また、華晨汽車が発表した2019年業績報告書では、同年グループ全体の純利益は109億5000万元(約1711億円)だった。そのうち、華晨BMWの純利益は150億元(約2344億円)で、親会社の華晨汽車と他の子会社は実際に9億5900万元(約150億円)以上の赤字だった。

同社の自社ブランド、「華晨中華」と「華晨金杯」の売れ行きが長年低迷している。中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大を受けて、今年1~6月までの両ブランドの販売台数はさらに減少した。前年同期比でそれぞれ約55%減、15%減となった。

2018年、華晨汽車は独BMW側と協議した結果、2022年までに華晨BMWの株式25%をオランダにあるBMWの子会社に売却することで合意した。これによって、華晨汽車が保有する華晨BMWの株式は今までの50%から25%に縮小した。

証券会社、広発証券などは、今年5月以降、華晨汽車に資金不足が起きていたとした。しかし、自社ブランドだけで華晨汽車の収益改善を望めないことから、金融機関が同社への融資を拒み、地方政府も救済措置を講じていないと指摘した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「生きづらさ」に喘ぐ中国の子供たち。児童病院の「登校拒否外来」が大人気のうらには。
「車を木に登らせた」中国の自動車教習所。生徒誘致のためならフェイクも辞さず道徳なき生存競争の末路とは。
中国の成都で反共産党の垂れ幕が登場。四通橋事件以降、各地で民主を訴える市民が続出。中共政権への怒りが広がり続けている。
中国で「また」ガラスドア爆発。住民は数十針縫う重傷。
米中貿易戦争の激化とともに、中国当局が言論統制を強化。ネット上では「関税」「104」さえ禁句に。