ウィーン銃撃、ISが犯行声明 容疑者にシリア渡航計画で有罪歴

[ウィーン/カイロ 3日 ロイター] – オーストリアの首都ウィーン中心部で2日に起きた銃撃事件を巡り、過激派組織「イスラム国」(IS)が3日、犯行声明を出した。警察当局はこの日、18カ所で家宅捜索を行い、14人を逮捕。事件直後に警察に射殺された実行犯は、オーストリアと北マケドニアの二重国籍を持つ20歳の男で、ISに参加するためにシリアへの渡航を試みたとして昨年4月に有罪判決を受けていた。

IS系のアマク通信は通信アプリ「テレグラム」に犯行声明を掲載。事件への関与を表明したが、証拠は示さなかった。同時に、銃撃犯とするはひげを生やした男性の写真も掲載した。

銃撃は2日夜、ウィーン中心部のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)付近で発生。年配の男女1人ずつ、若い通行人1人、飲食店従業員1人の計4人が死亡した。ネハンメル内相によると、警察官1人を含む22人が負傷。ウィーン市長は3人が重体としている。

その後、マース独外相がドイツ人女性1人が事件で死亡したと明らかにしたほか、スイスの警察は事件に関連してチューリヒ近郊で男2人を逮捕したと発表した。

2日は新型コロナウイルス感染拡大抑制のためのロックダウン(都市封鎖)開始を翌日に控え市中心部には多くの人が集まっていたが、一夜開けた3日はほとんどの店舗が営業を停止し、閑散としている。

クルツ首相は今回の襲撃事件を「テロリスト攻撃」とし、「これはキリスト教徒とイスラム教徒の対立でも、オーストリア人と移民の対立でもない。これは、平和を信じる多くの人々と、 信じない少数の人々との戦いだ。文明と蛮行の戦いだ」と非難。「われわれの民主主義を全力で守る」と表明した。

当局は当初、容疑者が複数いる可能性があるとして、治安要員1000人を動員して捜索に当たっていた。ネハンメル内相は、複数の襲撃犯がいた可能性は完全に否定できないとしながらも、携帯電話で録画された映像で2人目の襲撃犯は確認されていないと述べた。

射殺されたKujtim Fejzulai容疑者は北マケドニア出身の両親の下にオーストリアで生まれた。ISに参加するためにシリアへの渡航を試みたとして昨年4月に禁錮1年10カ月の有罪判決を受けたが、昨年12月に早期釈放。ネハンメル内相は、過激思想を解除するプログラムに取り組み、社会に戻る準備ができたことから早期に釈放されたとしている。

当局によると、容疑者は自動小銃、拳銃、大型の刃物で武装。爆発物のベルトを着用していたが、偽物と判明した。ネハンメル内相によると、容疑者は2種類の武器を装着した自身の写真を事件直前にインスタグラムに投稿していた。

オーストリア政府は事件を受け、3日間の服喪を宣言。独仏首脳がオーストリアに対し支援を表明したほか、米国のトランプ大統領も「米国は、オーストリアとフランスを含む欧州諸国と共にテロリストと戦っていく」ツイッターに投稿した。

*内容を追加しました。

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