2020年12月19日、中国上海にある昌碩科技の従業員約千人が勤務地の強制移動をめぐって抗議デモを行った(スクリーンショット、大紀元合成)

中国、EMS大手和碩の上海工場で抗議デモ 千人規模

アップルの主要サプライヤーである台湾EMS(電子機器受託製造サービス)大手、和碩聯合科技ペガトロン)の上海工場で12月19日、従業員1000人が強制的に勤務地を異動させられたとして、抗議デモを行った。地元政府は警官隊を投入し鎮圧した。十数人が拘束された模様。

ベガトロンの中国子会社、昌碩科技有限公司(以下は昌碩)の上海工場で働く張華さん(仮名)は大紀元に対して、19日午前9時頃、従業員らが工場前に集まり、出動した警官隊と従業員が衝突したと述べた。

「警官が先に暴力を振るったので、私たちはやり返した。1人の男性が警棒で殴られ倒れ込んだのを見た。1人は拘束された」と張さんは話した。

従業員の多くは警官に抵抗しなかったが、仲間の釈放を求め警官に向かってシュプレヒコールをあげた。抗議活動は同日午後3時頃まで続いた。

張さんによると20日、警察当局は工場の寮に行き、従業員の1人ひとりを写真に撮り、名前など記録した。「彼らは、デモ当日の録画に基づいて、参加者などを割り出し逮捕しようとしている」

従業員の李寧さん(仮名)によると、抗議活動のきっかけは、勤務先の変更に伴う特別賞与の不払いだという。中国のEMS企業は、「できるだけ多くの臨時従業員を集められるように特別賞与を給付する」という。

「臨時従業員が数カ月働いた場合、企業は臨時従業員に対して、1人当たり8000元~1万5000元(約12万6436円~約23万7067円)までの特別賞与を一度かぎり渡す。人をたくさん集めたいから、企業は求人広告に高額な賞与を提示している」

「電子部品の工場で働くのは大変だ。1カ月の給料は、食事代を除けば、手元に2000元(約3万1609円)か3000元(約4万7413円)ぐらいしか残らない。特別賞与がなければ、誰も応募しないだろう」

李さんら臨時従業員約2万人は今年10月、昌碩の複数の工場に派遣された。しかし、受注が激減したため、工場は稼働停止となった。会社側は、臨時従業員らを江蘇省昆山市にあるグループ企業に強制的に異動させた。

「昆山市に行きたい人は少なかった。会社側から相談もなく、従業員を無理やり異動させた。昆山市の工場も受注が少ない。1週間のうち、4日働いて、残りの3日は休みになる」

李さんは、昆山市の工場に異動すれば、上海工場の勤務期間が認められなくなり、特別賞与をもらえなくなると訴えた。「工場の上司は、私たちを昆山に行かせるために、あるいは仕事を辞めさせるために、様々な嫌がらせを働いた。賞与を支払いたくないだけだ」と李さんは話した。

従業員によれば、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大で受注が激減しただけでなく、物流が止まり部品供給も滞っているため、上海にある複数の工場は操業停止に近い状況だ。

昌碩側は従業員の抗議を受けて、同日、声明を発表し、勤務地変更に関して従業員の希望を尊重し、賃金や賞与、他の待遇などに変わりはないと強調した。

しかし、李寧さんは「21日、工場に行ったら、掲示板に貼られていた声明はすでに剥されていた。会社側は約束を破棄した」と述べた。

広西チワン族自治区に住む大学生は、今年6~9月まで、昌碩の上海工場で臨時従業員として働いたが、2カ月分の給料しかもらえなかった。さらに、支給された給料と特別賞与の金額は求人広告で提示された金額より少なかったという。

ブルームバーグなどによると、米アップルは11月中旬、中国の工場で学生を違法就労させたとして、ペガトロンとの新規ビジネスを停止すると決定した。

(記者・顧暁華/駱亜、翻訳編集・張哲)

 

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