豪首相、ダボス会議「グレート・リセット」計画に反対表明 「価値観や経済制度のリセットは不要」
世界経済フォーラム(WEF)は昨年10月、2021年の年次総会(通称ダボス会議)のテーマを「グレート・リセット(The Great Reset)」とし、パンデミックを契機に、世界の経済・社会秩序の広範かつ抜本的な変革を提唱すると発表した。
この計画について、スコット・モリソン豪首相は「私たちにリセットは不要だ」と明言し、反対姿勢を鮮明にした。昨年11月23日、英国のシンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange)」のオンライン討論会での演説で述べた。
モリソン首相は、パンデミック不況は「世界の資本主義や自由市場に基づく自由民主主義的価値観の失敗の産物ではない」とし、オーストラリアが価値観や経済制度を「リセット(再設定)」する必要はないと述べた。
「これらの価値観こそが、世界が知る限りの平和と繁栄の偉大な時代と、それを支える世界的な制度の基礎を築いたのだ」「これらの価値観こそが、今、パンデミック不況からの経済回復の原動力にならなければならない」
また、「これらの価値観は、経済成長や貧困の緩和、女性のエンパワーメント、環境の持続可能性、気候変動への適応、さらには多国籍犯罪や過激主義への対抗など、あらゆる問題の解決を導く最善の方法でもある」と同首相は述べた。
「健康と福祉のセーフティネットを備えた民主主義が、最高の行政のモデルであることに変わりはない。私たちは経済制度を再設定する必要はなく、ただ努力し続ける必要がある」と力説した。
豪議員「各国の社会制度への干渉だ」
昨年11月10日、オーストラリアのワンネーション党の党首であるポーリン・ハンソン(Pauline Hanson)上院議員は声明を発表し、世界経済フォーラム(WEF)が推進する「グレート・リセット」計画への抗議として、WEFの全イベントへの不参加をオーストラリア政府に呼びかけた。
ハンソン氏は声明の中で、「WEFはグレート・リセット計画を通じて教育から社会契約、労働条件に至るまで、私たちの社会と経済のあらゆる側面を刷新しようとしている」とし、オーストラリアがこの計画を採用すれば、壊滅的な結果を招くと警告した。
「パンデミックを口実にして世界各国の生活秩序を乱し、権力強化を追求し、社会制度に干渉することは全く容認できない」「私たちは、オーストラリア国民の生き方を守るために、絶対に関与しないという明確な立場を取らなければならない」と指摘した。
同氏は英スカイニューズ(Sky News)に対し、「世界経済フォーラムのグレート・リセット計画は、グローバリゼーションがすべてであり、各国に民主主義を失わせ、社会主義(左翼)のマルクス主義的世界観を押し付けることを目的としている」と語った。
発起人「全ての国が参加しなければならない」
WEFは公式サイトで、各国政府は、パンデミックによって引き起こされた社会的・経済的問題に対処し、いわゆる「1930年代の大恐慌以来の最悪の不景気」を回避するために、抜本的な対策を講じる必要があると主張している。
「米国から中国まで、すべての国が参加しなければならない。石油・ガスからハイテクまで、すべての産業を変革しなければならない。要するに、資本主義の『グレート・リセット』が必要なのだ」とWEFはウェブサイト上でこう述べている。
世界経済フォーラムの創設者で「グレート・リセット」構想の発起人であるクラウス・シュワブ(Klaus Schwab)氏は、この計画が世界を危機から救い、より良い世界を作ると主張している。
シュワブ氏は2017年1月10日、中国国営新華社通信とのインタビューで、国家戦略の実行を通じて新技術の発展とイノベーションを推進する中国政府の「先見性」を称賛し、反グローバリズムや保守主義の風潮を抑える上で、中国政府がグローバルリーダーとして重要な役割を果たすことを期待すると述べた。
WEFは毎年1月にスイスのダボスで年次総会を開催する。WEFは昨年12月7日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染症の影響で、2021年の年次特別総会をシンガポールで5月13~16日に開催すると発表した。2022年の年次会議は再びダボスに戻るとしている。
(翻訳編集・王君宜)