2020年10月、平壌で夜に開催された軍事パレードでミサイルが展示される。韓国のテレビ局が放送している(JUNG YEON-JE/AFP via Getty Images)

北朝鮮、制裁に違反して2020年も核・ミサイル計画を続けていた=国連安保理

2021年2月上旬、国際連合安全保障理事会(国連安保理)北朝鮮制裁委員会の下で制裁の履行状況を調べる専門家パネルが報告書を提出した。内容は未公開だが、国連安保理の匿名外交筋から、北朝鮮が国際的な制裁に違反して、2020年を通じて核・弾道ミサイル計画を維持・開発していたことが明らかとなった。

専門家パネルの報告によると、北朝鮮政府は「核分裂性物質を生産した他、核施設を維持して弾道ミサイルに関するインフラを刷新した」だけでなく、この開発計画に必要な物質や技術を他国に求めていた。

今回の年次報告書が国連安保理の北朝鮮制裁委員会に提出されたのは、ジョー・バイデン米国大統領が就任してからわずか数週間後のことである。2月8日に米国国務省が発表によると、米国政府は北朝鮮に対する新たなアプローチを検討している。これには、「現在も継続されている圧力政策および将来的な外交交渉の可能性」について同盟諸国と完全な見直しを図ることが含まれる。

北朝鮮の金正恩総書記(最高指導者/2021年1月に総書記に就任)とドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は2018年と2019年に3回の米朝首脳会談(3回目の会談は両国共に首脳会談であることを否定)を行ったが、北朝鮮の非核化を求める米国と制裁解除を求める北朝鮮との間で折り合いが付かず進展は見られなかった。国連外交筋によると、北朝鮮は昨年の軍事パレードで新しい短距離・中距離ミサイル、潜水艦発射型ミサイル、大陸間弾道ミサイルシステムを披露した。

2020年には北朝鮮政府は核・弾道ミサイル実験を行わなかったものの、「新たな弾道ミサイル弾頭の生産と実験および戦術核兵器の開発の準備をする」と発表している。

ニューヨークに所在する北朝鮮の国連代表部はコメントの要請に今のところ応じていない。

2006年以来、北朝鮮は国連制裁の対象となっている。計15か国の常任理事国と非常任理事国で構成される国連安保理は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画への資金経路を遮断することを目的として、経時的に制限を厳格化してきた。

専門家パネルの報告によると、2019年に北朝鮮は国連制裁で禁輸対象となっている石炭の輸出により、少なくとも370億円相当(3億7,000万米ドル)を稼いでいる。しかし、2020年7月以降は石炭の輸出が概ね停止されたようだと報告されている。

新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年から厳格に国境を封鎖して孤立した北朝鮮ではその貿易量も大幅に低下し、国際的な制裁によりすでに苦境にあった同国経済は崩壊の瀬戸際に来ているはずであった。しかし、2020年7月時点における40ヵ国以上の証言によると、北朝鮮は国連が課した制限量を超える石油の輸入を継続していた。

専門家パネルが報告したところでは、某加盟国が提供した画像とデータによると北朝鮮は「数回にわたり」年間50万バレルの上限を上回る量を密輸している。

2021年1月、金総書記は自国の「国家経済発展5ヵ年戦略」を失敗と断じた。国連機関の報告によると、金政権は経済成長の加速と電力供給の増加を目指していたが、制裁、新型コロナウイルス感染症パンデミック、深刻な洪水被害により慢性的な電力・食糧不足に陥っていた。

(Indo-Pacific Defense Forum)

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