≪医山夜話≫ (52)
アレルギー性鼻炎の漢方療法
西洋医学のアレルギー性鼻炎は、古代の漢方医学では鼻鼽(びきゅう)と呼ばれていました。この病気に罹っている患者は、命に別状ありませんが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が長期に続き、味覚、臭覚まで鈍くなる場合があります。
漢方医学では、アレルギー性鼻炎は肺気不足に由来した病気であると認識しています。鼻は呼吸器官の一部として肺に密接に関係しており、肺の体表にある「窓口」とも言われています。鼻の病気は肺気不足に起因するものが多く、その上に寒邪などの外邪が肺に侵入すれば、肺の機能が妨げられ、鼻に症状が現れます。
このような慢性化した、長期に症状が続くアレルギー性鼻炎に対して、漢方製剤の「蘇合香丸」は、とても良い効果があります。「蘇合香丸」は、中国宋代に編集された『太平恵民和剤局』に収載された処方であり、10数種類の生薬から構成されています。風寒の風邪や脳卒中、冷えによる腹痛および狭心症、顔面神経麻痺にも使えます。アレルギー性鼻炎に対して、非常に良い効果がありますが、肺気不足の患者には、玉屏風散のような肺気を補う処方を合わせて使うべきです。体力が極端に弱っている人、妊婦にも使えます。
鍼灸で治療する場合は、迎香(げっこう)、百会(ひゃくえ)、神庭(しんてい)、印堂(いんとう)などのツボを使います。
鍼灸治療と漢方治療を合わせれば、アレルギー性鼻炎によりよい治療効果が得られるでしょう。
(翻訳編集・陳櫻華)
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