独与党CDU、ラシェット党首を首相候補に決定 メルケル氏後継
[ベルリン 20日 ロイター] – ドイツの最大与党キリスト教民主同盟(CDU)の幹部会は、9月の連邦議会選挙の首相候補として、姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)のゼーダー党首ではなく、CDUのラシェット党首を支持することを決めた。党関係者が20日、明らかにした。
長年政権を維持してきたCDU所属のメルケル首相は秋の政界引退が決まっている。
メルケル氏の後任を巡ってはラシェット氏(60)の立候補表明後、ゼーダー氏(54)も立候補を表明し、保守派の連立与党内で首相候補の一本化に向けた協議が続いていた。
関係者によると、19日の幹部会は夜中まで6時間以上続き、投票の結果、46人中31人がラシェット氏を支持し、幹部会として同氏を支持することが決まった。ゼーダー氏支持は9人、棄権が6人だった。
関係者によると、ラシェット氏は投票に先立ち、ゼーダー氏がCDU幹部会の決定を受け入れると明言していたと語った。ゼーダー氏は幹部会に参加しなかった。
ゼーダー氏はその後、ミュンヘンで記者団に対し「さいは投げられた。ラシェット氏が候補になる」と述べ、敗北を認めた。
世論調査では、ゼーダー氏の支持率はラシェット氏よりも高い。にもかかわらず、CDU幹部がラシェット氏を首相候補として支持したことは、選挙で勝利する可能性よりも保守連合内でのCDUの優位維持を優先したことになる。
中道派のラシェット氏はメルケル氏の政策路線を引き継ぐ候補として広く認識されているが、新型コロナウイルス感染拡大に際しての制限措置を巡ってはメルケル氏と対立した。一方、ゼーダー氏は抜け目の無い政治家として知られ、コロナ禍ではメルケル氏の政策を支持した。
CSU党首がドイツ首相に就いた前例はない。
ラシェット氏は記者会見で「CDUはCSUなくして選挙に勝てない。逆もまた然りだ」と指摘。メルケル首相は報道官が投稿したツイートで「今後の協力に期待している」と述べた。
ラシェット氏はメルケル氏の方針を継承するとみられているが、メルケル氏のように国際舞台で主導力を発揮できないとの見方も出ている。VPバンクのエコノミスト、トーマス・ギツェル氏は「メルケル氏の後任は、外交政策の面で重責を担う。ラシェット氏は担うことはできず、担う意思もないかもしれない。焦点は国内政策に置かれるだろう」と述べた。
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