【医学古今】

慢性蕁麻疹(じんましん)の鍼灸治療

長年、蕁麻疹に悩まれている患者さんがいます。抗アレルギー剤で一時的に改善しますが、薬を飲まなければ再発します。このような患者さんは漢方か鍼灸の治療を試すようお勧めします。

 漢方医学の診方では、蕁麻疹の原因は風(ふう)邪(風の邪気)が関わっている場合が多く見られます。風邪には「善行数変」という性質があり、遊動性に富み、症状変化が速いのです。蕁麻疹の症状も、発疹部位が遊動的で、症状が出たり消えたりします。風邪以外に寒邪、湿邪、熱邪、血虚、血滞などの原因が混在する場合も多く、特に慢性化した場合はより複雑になります。

漢方や鍼灸で治療する場合、まず病因を分析し、邪気の種類や臓腑と気血の虚実状況を把握したうえで治療します。古人の経験では「治風先治血、血行風自滅」という原則があります。つまり風邪を治療する場合、まず血を治療し、血の循環が良くなれば、風邪が自ら消えてしまうので、「疏風和血」(そふうわけつ)を中心に考えます。

鍼灸のツボとして、風池(ふうち)、風府(ふうふ)、風市(ふうし)などのツボで風邪を追い払い、血海(けっかい)、内関(ないかん)、隔兪(かくゆ)、曲池(きょくち)、足三里などのツボで血を調(ととの)えます。その上に寒、湿、熱などの邪気を配慮してツボを加減します。

漢方で治療する場合、疏風和血の作用がある当帰飲子(とうきいんし)という処方を中心にして、その他の邪気の種類に合わせて、桂枝湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、十味敗毒湯、香蘇散、柴胡桂枝湯などの処方を選んで治療します。

漢方や鍼灸で治療して症状が改善されれば、症状はなくなります。

薬と鍼灸の治療以外に、症状や体質に対して生活習慣の改善を指導する場合もあります。

(漢方医師・甄 立学)

関連記事
健康的とされる甘味料「エリスリトール」が、実は血管や脳に悪影響を及ぼすかもしれないという研究結果が発表されました。
関節炎、がん、認知症、うつ…。「治らない」とされてきた慢性疾患が、生活習慣の改善で“逆転”した症例が続々報告されています。諦めずに、希望の声を信じて。
玉ねぎは冷蔵庫に入れると逆に傷みやすい?風味を損なわず長持ちさせるには「温度・湿度・包装」が鍵。知らないと損する保存術をご紹介します。
目の疲れや体の不調に効く「行間」のツボをご紹介。高血圧やストレスを和らげ、肌の輝きも取り戻せるセルフケア法を今すぐ試して、心身のバランスを整えましょう!
唐の時代、雪に包まれた上苑で女帝・武則天の心は曇り、冷えた空気がその憂いを深めていました。彼女はその心情を詩に込め、明朝に百花を咲かせるよう命じるのでした。