弟子規/大紀元

【物語】塩漬けの魚

陶侃(とうかん)という男性が、地方官として赴任していた時のことです。彼は漁業の管理をする役人でした。

ある日、陶侃は人を遣わせ、地元名産の塩漬けの魚を母親の元へ届けさせました。魚が好きな母親が、きっと喜ぶだろうと思ったのです。

母親は届け物を開くと、すぐにまた蓋を閉めて陶侃に手紙を書きました。

手紙は、厳しい口調で書かれていました。「あなたは公のために尽くすのではなく、自分の立場を利用して、高価な物品を私に送ってきました。私は今、これを喜ぶどころか、あなたを心から心配しています!」

陶侃は、母からの戒めを深く受け止め、自分の過ちを悟りました。その後、彼は「清廉潔白」を常に心に留め、人々のために働きました。

(翻訳編集・郭丹丹)

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