文化大革命時の「紅衛兵証」(大紀元)

【党文化の解体】第3章(21)

4.教科書を利用し、党文化を注入する

 個人が物事に対して判断を下すには、主に二つの理由によって決定するものである。一つは情報の掌握、もう一つは情報の処理方式つまり思惟方式である。現代人にとって、新聞メディアなどは一番重要な情報源であり、学校教育は人の考え方を育くむ重要な力である。このため、中共は党文化を注入するため、新聞メディアと学校の教科書を極端にまで重視している。前者についてはすでに第一節で触れたので、ここでは中共がいかに教科書を通じて党文化を注入したかの作用について述べる。

 1949年以前の中国の教育には、国立、私立、教会(※1)の三つの方式があった。1949年以後、学校の全ては接収されて国有となり、中共当局は「党委員会の責任制」を通して、法規を制定し、行政命令等の方式で学校の権力を掌握、さらに組織の統廃合、思想改造の方式で教職員を服従させ、教科書を用いて成長期にある青少年を洗脳した。

 毛沢東はかつてこう言った。「一枚の白紙には元より何もない。最も新しく最も美しい文字を書くことができ、最も新しく最も美しい絵画を描くことができる」。中共は青少年の無垢な心に思い通りの絵を描き、青少年の教育は中共が党文化を注入する重要な陣地となった。

 いわゆる「解放区」からの教育に端を発し、中共は系統的な政治課程を作り始めていた。政権を取得して以来、中共の教育部門は政治教育を漸次法規化し、各学校に強制的に浸透させていった。50年代に高校で設立された政治課程には、「マルクス・レーニン主義の基礎」、「社会発展史」、「中国革命史」、「政治経済学基礎」などがある。

 政治運動がない時期には、このような課程は大学における授業総時間数の10分の1から5分の1を占めていた。そして政治運動が始まると、これらの授業は明らかに政治的要求に応えられなくなってくる。反右、四清(※2)、各種の政治運動、政治学習、報告会、軍事訓練、工・農の学習など色を変え形を変えた政治教育、それに学校で行われる授業の政治課程を加えると、学生の在学中における勉強時間の大半近くが取られてしまった。

 1966年以前、毛沢東はかつて、「資産階級分子が我々の学校を統治していた」と認識していた。1967年、中共中央は『小学無産階級文化大革命の通知(草案)』を提出、小学一年生から四年生までの学童は毛主席の語録を学習するよう要求され、併せて識字、革命歌の斉唱、算数、科学常識を学ぶこととなった。五、六年生は、毛沢東語録のほか、「老三篇」、「三大紀律、八項注意」、「十六条」を学び、革命歌を斉唱した。以上は「教育革命」のごく一部の内容である。

 

文化大革命時の「紅衛兵証」(大紀元)

国民全体にこのような洗脳が強化されて10年以上行われたため、社会道徳と民族の心理に巨大な悪果が残されることとなった。

 次に、改革開廟xun_ネ来の所謂「正常時期」において、中共がいかに学生たちに党文化を注入したかを見てみよう。

(続く)

(※1)教会:天主教などの宗教団体

(※2)四清:四清運動ともいう。1962末から農村で漸次行われ拡大した運動で、最初は「清工分(仕事量を明らかにし)、清帳目(帳簿を明らかにし)、清財物(財物を明らかにし)、清倉庫(在庫を明らかにする)」がスローガンであったが、後に大清四、即ち「清政治(政治を明らかにし)、清経済(経済を明らかにし)、清組織(組織を明らかにし)、清思想(思想を明らかにする)」にまで発展した。農村部のこの清四運動と都市部における五反運動とが合わさり、「社会主義教育運動」と称された。

 

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