【医学古今】
脳梗塞後の痺れに鍼治療
ある患者(60代男性)さんは、6年前、脳出血後に左半身の麻痺がありましたが、間もなく症状は消えました。その後、脳梗塞を発症して左半身の麻痺と左側の唇や頬部に電気が走るようにビリビリする痺れ感、左目下方の顔面部に痛みなどが残りました。
彼は左半身の運動障害に対するリハビリを受けていますが、回復の見込みがないと思ってすでに諦めています。しかし、唇のビリビリする痺れが非常につらいので、何とか軽減したいと鍼灸院を尋ねてきました。
症状は5年以上も続いており、中枢障害に関わる神経症状なので、鍼灸でどの程度改善できるのか、正直、自信はありませんでした。しかし、患者さんの希望を壊したくないし、自分も諦めたくありません。難しいと思うが希望を持って治療しましょうと患者さんに説明し、了解を得て治療を始めました。
頭部の通天(つうてん)、率谷(そっこく)、百会(ひゃくえ)、顔の人中(じんちゅう)、地倉(ちそう)、承漿(しょうしょう)、上肢の曲池(きょくち)、列缺(れっけつ)、合谷(ごうこく)、下肢の足三里、陽陵泉、太衝(たいしょう)、陥谷(かんこく)のツボを刺鍼したままで暫く患者さんを休ませて、鍼を外してから指先の少商(しょうしょう)と商陽(しょうよう)に刺絡しました。
治療後、顔の痺れ感が軽減しました。週一回、5回ほど治療した後、そのつらい痺れ感が殆んど消えましたので、治療を終了しました。
難しいと思いましたが、案外早く効果が得られた一例でした。
(漢方医師・甄 立学)
関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。