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≪医山夜話≫ (66)

疾病の成因から養生を論じる

昔の人は養生の道(どう)を理解しています。養生は生命の自己管理法であり、芸術でもあります。養生の道は、人間が天地、自然の運行と変化の規律に従うこと、環境に適応し食を節制すること、および日常生活の規則などを指し、その中でも最も重要なのは道を重んじ徳を養うことです。

 外部環境と病気を引き起こす有害な要素を出来るだけ避け、心の平静を保ち、雑念がなくなれば、体の真気は和やかになり「精」と「神」を体内に納めると、病に犯されなくなります。だから、気を楽にして欲を少なくし、心を落ち着かせ、慌てず、たとえ疲れても真気の運行が滞ることなく、筋骨を損ねず元気いっぱいになる、と古人は考えました。

 どんな食物でも美味しくいただき、どんな衣服でも心地良く身につけ、どんな環境にいても満足して楽しむ。そして、金銭、物質、社会地位に対してもこだわらないのは「朴(質素の意)」と称します。「朴」はつまり「本」で、人の欲求をすべて捨て、最も原始的な無邪気に戻ることを「返本帰真」といいます。

 老子曰く、「其安易持篇,其安易持,其未兆易谋,其脆易破,其微易散」。物事が安定する時はコントロールしやすく、物事の兆しが現れる前には図りやすく、物事が弱い時は消滅しやすく、物事が小さい時は散逸しやすいので、事が発生する前に未然に予防し、災難が発生する前に処理すべきである、と言っています。

 同じ道理で、疾病の発生も無から有へ、小から大への過程があります。これが分かれば、その根源を見極めて予防し、疾病を未然に、あるいは発症の初期に消滅させることが大切です。

 目下、各地で急性伝染病が流行し、世の中の人の道徳も滑落し、たくさんの人が命を落としています。早めに予防しなければ、後悔しても遅いのです。この急性伝染病の病因は風、寒、暑、湿、燥、火などの「六気」からではなく、一種特殊な「癘気(れいき、熱病などを起こす悪気)」に由来します。特徴はその強烈な伝染性にあり、口と鼻からの感染ルートによる、一種の邪気(じゃき、病気を起こす悪い気)です。医者も為す術がなく、治療薬の開発も間に合っていません。中医学では、人は天地の気を受けて生まれ、天道(自然の法則)と人道(人の行動)を守り神を敬愛し、いささかの誤りも犯してはなりません。古今を通して、災いも福も皆人が自ら作り出したもので、天道に逆らう者は天寿を全うすることができないのです。

(翻訳編集・陳櫻華)≪医山夜話≫ (66)より

 

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