【医学古今】

月経痛の鍼灸治療

漢方医学では月経痛の原因は気滞、血瘀、寒邪、湿熱、気血不足、肝腎虚弱など、患者さんの体質によって分類されます。鍼灸治療は疼痛を一時的に緩和するばかりでなく、痛みの根本的な原因である体質を改善する効果もあります。

 月経痛治療によく使われるツボは、陰交、合谷、地機、三陰交、太衝などがありますが、患者さんの体質に合わせてツボを加減します。

 患者さんの体質が気滞の場合、月経の一週間前から胸部の張り、情緒不安、頭痛、肩こりなどの症状が現れやすくなります。治療には気の流れを改善する肩井(けんせい)、膻中(だんちゅう)、期門、外関、陽陵泉などのツボを加えます。

 体質が血瘀の場合は、月経が開始すると腹痛が強くなる、経血に塊が多く混じるなどの症状がよく見られます。治療には血液の循環を改善する血海、隔兪(かくゆ)、次髎(じりょう)などのツボを加えます。

 寒邪は、腹部や四肢末端が冷えやすい体質です。この場合は、冷えの症状を緩和するため下腹部や仙骨のあたりに温灸を加えると、月経痛にも効果が得られます。

 体質が湿熱の場合は、苔が厚く、下り物が黄色くて臭いが強い、身体がだるいなどの症状がよく見られます。治療には湿熱を除去する大腸兪、次髎、行間(こうかん)、豊隆などのツボを加えます。

 気血不足の体質の人は月経後に腹痛が起こる場合が多く、疲れやすく、顔色が悪いなどの症状がよく見られます。治療には気血を補う血海、隔兪、気海、足三里、中脘、天枢などのツボを加えます。

 肝腎虚弱の場合は、腰痛、めまい、視力減退、眼精疲労、月経が遅れるなどの症状がよく見られます。治療には肝腎を補う肝兪、腎兪、太谿(たいけい)、照海などのツボを加えます。

 月経痛に加えて吐き気や嘔吐、下痢などの症状があれば、内関、公孫(こうそん)などのツボを加えると症状が改善されます。

 総じて言えば月経痛は冷えが原因となっている場合が多いので、日常生活において身体を冷やす要素を避けるよう注意すべきです。特に冷たいものの飲食は、できるだけ控えた方が良いでしょう。

(漢方医師・甄 立学)

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