イスラエル、ハマス幹部を殺害 パレスチナ側はロケット弾で応酬
[ガザ/エルサレム/ワシントン/ブリュッセル/モスクワ 12日 ロイター] – イスラエルは12日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスのメンバー16人を殺害したと発表した。これに対し、パレスチナ武装勢力はイスラエルにロケット弾を撃ち込むなど応酬が激化。米政府は特使を派遣し事態沈静化に乗り出した。
ガザ保健省によると、ガザ地区ではこの日の空爆で24人が死亡。空爆が始まった10日以降では少なくとも65人が死亡した。一方、イスラエル側の死者は6人となった。
イスラエルのネタニヤフ首相は殺害したハマスメンバーにはガザ市の旅団長が含まれると発表。「これは始まりに過ぎない。われわれは彼らが夢にも思わなかった攻撃を行うだろう」と述べた。
発表直後、イスラエルのアシュドド市に新たなロケット弾が撃ち込まれた。またイスラエルメディアによると、ハマスがテルアヒブ地区への新たな砲撃を準備しているという。
ハマスは声明で旅団長と「他の指導者および聖なる戦士たち」の死亡を確認。ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏は「敵対国との衝突に終わりはない」と述べた。
ブリンケン米国務長官はイスラエルとパレスチナに対し、「悲惨な」暴力の沈静化を要請するためアムル副次官補(パレスチナ・イスラエル問題担当)を派遣すると発表。イスラエルには民間人の犠牲を回避するための特別な責任があるとした。
国務省によると、ブリンケン長官はこの日、ネタニヤフ首相と電話会談し、イスラエルの「ロケット弾の集中砲火」に懸念を表明。緊張緩和を改めて求めるとともに、イスラエル・パレスチナ双方での安全な生活の必要性を訴えた。
また米国防総省のカービー報道官は声明で、オースティン国防長官がイスラエル側との電話会談で、「イスラエルの正当な自衛権や国民に対する国防総省の確固たる支持を伝えるとともに、ハマスや他のテロリスト集団によるロケット弾の発射を強く非難した」と述べた。
一方、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は声明で「両国の民間人に影響を与えるような広範な紛争を防ぐためにあらゆる措置が講じられなければならない」とし、イスラエル・パレスチナ双方の対応を非難した。
ロシアのラブロフ外相は、問題の解決に向けロシア、米、国連、EUによる4者協議を早急に行う必要があると表明。国連のグテレス事務総長に調整役を務めるよう要請した。