康熙帝の親孝行

清の第4代皇帝・康熙は8歳で皇帝に即位し、在位61年の間、「康乾盛世」を成し遂げ、中国歴史上、最も民に尽くし、仁君として名を残しました。

康熙10年(1672年)、康熙帝の祖母である孝荘文皇后が偶然、塞外(万里の長城の外側)にある「関外第一泉」(現在の赤城温泉)と呼ばれる温泉が関節リウマチに効果があると知り、そこに行きたいと言いました。もちろん、祖母の提案に賛成した康熙帝は速やかにそこに行宮を建てました。

行宮が完成した翌年、康熙帝は1月に大臣を率いて、祖母の孝荘文皇后とともに、德勝門を通り、八達嶺長城を越え、6日間かけて赤城温泉の行宮に到着しました。道中、険しい道のりを歩かなければならなくなりましたが、康熙帝はその都度、自ら孝荘文皇后を支えて歩き、懐来城(現在の懐来県)の東に位置する浮橋を通る時も、康熙帝はまた自ら橋の上を歩き、安全さを確かめた後、祖母が乗っている輦輿を通過させました。更に、毎日の食事でも、康熙帝は自ら祖母の世話をしました。孝荘文皇后は赤城温泉の行宮で51日間滞在しました。その間、康熙帝は、自分がどこにいようと、どんなに悪天候であっても、道のりが険しくても、必ず1日1回、時には2回、孝荘文皇后に会いに行宮を訪れました。行宮まで毎日30キロメートルを往復しなければならず、康熙帝の孝荘文皇后に対する仁と孝の心が伺わせます。『康熙起居録』の起居注官も「皇帝はまことに純孝なり、未だ之れ有らざるなり(康熙帝の親孝行は、これまでの皇帝にもなかったという意味)」と深く感じ入りました。

(訳 天野 秀)

関連記事
軽い散歩や家事でも脳の処理速度は向上する――中年層を対象にした最新研究が、日常の短い運動だけで実年齢より若い認知機能を保てる可能性を示しました。思考を活性化させるヒントを紹介します。
旅行前に空港で食事をする際は要注意。食品安全の専門家は、既成サンドイッチ、サラダ、寿司、生魚、炭酸飲料機の使用を避けるよう警告しています。安全に旅を楽しむためのポイントを紹介します。
春の風熱から体を守る食養生メニューをご紹介。風を追い出し、肝・肺・脾のバランスを整える食材で、体を潤し、食欲を促進します。風熱による不調を和らげる春にぴったりのレシピです。
春の終わりに最適な薬膳レシピ!湿気や風に負けない体作りをサポートする牛肉、大根、パクチーを使った料理で、脾と肺のバランスを整え、食欲や元気を取り戻しましょう。
卵の茹で汁にはカルシウムやマグネシウムが豊富で、掃除や髪のケア、植物の栄養にも役立ちます。普段捨ててしまうその茹で汁を、賢く活用する方法をご紹介します。