台湾外相「中国はワクチンの見返り求めている」日本の記者会見にオンライン参加

台湾呉釗燮(ジョセフ・ウー)外相は3日、中華人民共和国がワクチンなどウイルスの流行を抑える支援を行う見返りとして、海外で政治的資本を追い求め、台湾への圧力を高めていると述べた。

呉氏は、日本外国特派員協会で行われた記者会見にオンラインで参加し、「北京の共産党指導者たちは、自分たちの政治目標を押し付けるために、パンデミックを利用している」と述べた。特に、中共の「ワクチン外交」は、中南米の国々に分裂をもたらし、西半球で影響力を行使する機会を与えていると指摘した。

中国は、「北京との政治的パートナーシップを喜んで受け入れる人々」に対して、中国製ワクチンやその他の医療資源ほか開発援助を提供しているという。

「中国はこの協力関係を利用して、台湾や米国の同盟国を誘い出して、圧力をかけたりして、北京寄りにする。地域の政治的影響力を得ようとしている」と指摘した。

実際、中国共産党政権は資金援助や融資を利用して、台湾とその数少ない国交締結国との関係を破壊してきた。

呉氏はさらに、中国共産党政権が主導する広域経済圏構想「一帯一路」は、すでにアジア、アフリカ、ヨーロッパのいくつかの国で、「負債、汚職、民主的統治の侵食の痕跡」を残していると非難した。

中国共産党は、ワクチンを海外で数億本販売し、主にアフリカの発展途上国に数百万本を寄付している。世界保健機関(WHO)は、中国が開発した2つのワクチンを緊急承認した。しかし国際社会では、様々な副反応に対する懸念が広がっており、データの透明性に欠けているとの批判もある。

中国はWHOを含む数多くの国際機関から台湾を締め出している。呉氏は、中・低所得国にワクチンを配布するCOVAXイニシアチブなど、国連機関のパンデミック対策への台湾の協力を妨害していると述べた。

今回のWHO総会も、中国の妨害により、台湾は参加することができなかった。しかし、呉氏は台湾の参加のための国際的なコンセンサスを得ることができたと述べ、謝意を示した。「(支持の表明は)台湾の人々を助けるものだった。私たちは本当に感謝している」と呉氏は語った。

呉氏によると、台湾は中国からの医薬品の輸入を停止しており、近いうちに独自の国産ワクチンを発売すると述べた。

日本は、台湾に対する緊急支援として4日、英アストラゼネカ製のワクチン124万回分を台湾に供給した。医療従事者に優先的に接種される見通しという。米国もまた6日に、超党派の上院議員3人が訪台し、蔡英文総統と会談。コバックスを通じて75万回分のワクチンを提供することを表明した。

中国は、外交的な圧力とともに、軍事演習や軍用機の領海接近など、軍事力を用いて台湾統一を実現しようとする野心を隠さなくなっている。呉氏は、台湾の政府と国民は「自己防衛に絶対的にコミットしている」と述べ、台湾政府は米国からの武器購入を含む軍事力の強化に取り組んでいるとした。

呉氏はまた、日本と台湾は、正式な外交関係がないものの緊密な関係にあることを強調、「台湾と日本は、自由、民主主義、人権保護、法の支配といった価値観を共有している」と述べた。

(佐渡道世)

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