朝の満員電車は体に大きな負荷を強いる(Photo by YUKI IWAMURA/AFP via Getty Images)
【漢方の見方】

めまいや動悸はなぜ起こる? 漢方が提示する五つの改善法

めまいや立ちくらみ、抜け毛、乾燥肌などの症状にしばしば悩まされている方がいらっしゃるかと思います。特に年齢を重ねていくにつれて、このような症状が顕著に表れてきたと感じることもあるでしょう。そのほかにも、顔色が悪い、肌が荒れやすい、髪や爪が傷みやすいといった症状が現れる場合もあります。実はこれらの症状は、漢方の見方ではすべて同じ原因によるものなのです。

そのような症状を引き起こす体の状態は、漢方では「血虚(けっきょ)」と呼ばれています。漢方では、「気、血、水」を体を支える三本柱として考えており、この中の血とは栄養の状態や血の巡りを指します。その血や栄養が不足している状態こそが「血虚」です。「血虚」の状態は出産を終えたばかりの女性や、高齢者の方にこの状態が多くみられます。体内の血が足りていないため、必要とされている部分に十分な栄養を供給することができず、体に不調をきたしてしまいます。

漢方では血虚に対するいくつかの対処方法があります。一つひとつ見ていきましょう。

漢方的対処法

最も身近な方法は食事療法です。ライチ、松の実、キクラゲ、ホウレンソウ、ニンジン、豚肉、羊肉、牛レバー、羊レバー、スッポン、ナマコ、ヒラメなどの食品には、血を養う効果があります。

ロンドンの市場で売られているライチ(Photo by Jack Taylor/Getty Images)

また、目の使い過ぎにも気をつけましょう。漢方では、「目は血があってはじめて見ることができる」と考えられています。そのため、長い時間読書したり液晶画面を見続けたりすると、疲れ目につながるだけでなく、ただでさえ不足気味の血をさらに消耗してしまいます。

一般的には、パソコンや読書などを1時間続けたら、目の筋肉をリラックスさせる動きを適度に行うと、疲労を軽減できるとされています。

心をいたわり、思いつめないことも大切です。心臓は血液循環に欠かせない臓器であり、大脳に血液を供給する重要な役割を果たします。そのため、過度に哀愁に浸ることや、考えすぎは心の血を損耗させ、大きな負荷となります。特に高齢者の方は脳の使い過ぎに用心し、疲れを感じたら花鳥風月をたしなみ、気分転換を心がけましょう。

常に楽観的な気分を保ちましょう。血虚の傾向にある方はしばしば気分の落ち込みや不眠、物忘れ、集中力の低下などに見舞われます。落ち込んでいるときは友達と話したり、音楽を聴いたりすることで煩悩を忘れましょう。

最後は適度の運動を行うことです。高齢の方によくありがちな症状として、体の節々が痛くなる、かゆくなることが挙げられます。血が足りないこともその原因の一つとして考えられています。適度な運動は体の血や気のめぐりを改善し、痛みやかゆみの軽減につながります。しかし、過度の運動は逆効果なので、太極拳や気功といった伝統的な鍛錬方法の他、ピクニックやトレッキングといった軽めの運動が適しています。

(翻訳編集・羽司)

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