【医学古今】
酒毒を治療する漢方薬
お酒は上古の時代に薬として造られました。2千年前の書物『黄帝内経』の記録によれば、上古の時代、人々は心が素朴で徳を重んじ、めったに病気にならないため、お酒を造っても殆ど利用されませんでした。『黄帝内経』の時代になると、徐々に人間の道徳が低下し、お酒は薬として使われるほか、嗜好品として珍重されました。
現代では、お酒は薬というより、むしろ嗜好品として扱われています。節度を越えた飲酒による健康問題も多く見られます。
お酒は温熱の性質を持つため、過量の飲酒により、体内に湿熱が溜まりやすくなります。この湿熱はまた酒毒とも呼ばれ、健康を損なう原因となります。
この湿熱は中枢神経系や肝臓に害を与えるだけでなく、皮膚湿疹や皮下膿腫を起こす場合もあります。
急性アルコール中毒症や二日酔いには、乾燥した葛花(カッカ、クズの花)を煎じて飲むと効果があります。乾燥した葛花3~9グラムを300mlの水で軽く煎じて飲みます。
葛花を単味で使っても効果がありますが、胃腸症状が強い場合、茯苓、木香、縮砂、白朮、陳皮、神曲、沢瀉などの生薬を合わせて使えばより効果的です。
長期間に及ぶ過量の飲酒によって湿熱が蓄積し、体調を崩している人には、龍胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)や茵陳五苓散(いんちんごれいさん)などの処方が使われます。このような漢方薬は、エキス剤として市販されています。
(漢方医師・甄 立学)
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