【医学古今】
踵の痛みに漢方と鍼灸
踵に痛みについて、現代医学では主に局部の骨、滑液包、腱、腱膜などの病変を治療しますが、漢方の場合、臓腑と経絡(けいらく)理論から原因を分析し、局所治療と臓腑機能の改善を考慮しながら治療を行います。
漢方医学の理論では、滑液包と腱膜は肝に関係が強く、骨は腎に関係が強いため、踵の痛みの原因は、肝腎機能の低下にあることが多いのです。機能低下以外に、寒と湿の邪気が局所に侵入して起こることもあります。踵の周りに通る経絡は主に足少陰腎経と足太陽膀胱経なので、この二つの経絡上のツボに鍼灸を施します。
治療するには、肝腎不足に対して牛車腎気丸、温経湯、海馬補腎丸などを内服して肝腎機能を改善し、寒湿の邪気がある場合は山椒10グラム、乾姜(生姜を乾燥したもの)10グラム、乾燥したヨモギ10グラムを3リットルの水の中に入れて15分煎じた後、食塩30グラム、食酢50ミリリットルを入れて混ぜてからバケツに入れて足湯をすれば良いのです。食事療法としては、ハト麦15グラム、小豆15グラム、豚足1本、生姜と食塩(適量)を煮込んで食すれば、補助治療効果があります。
鍼灸で治療する場合、腎経の太谿、復溜、然谷と膀胱系の腎兪、崑崙、金門などのツボを合わせて使えば良いでしょう。局部の太谿と崑崙に灸頭鍼(鍼のしっぽにモグサをつけて加熱する方法)を使ったほうがより効果が得やすいという経験もあります。
(漢方医師・甄 立学)
関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。