大紀元エポックタイムズ・ジャパン

【歌の手帳】吉原の太鼓

吉原の太鼓聞こえて更くる夜(よ)をひとり俳句を分類すわれは(正岡子規

歌意「夜も更けると、吉原の遊郭で打つ太鼓の音が、この根岸にある我が庵まで聞こえてくるようだなあ。そんな賑やかな花柳界とは全く関わりなく、一人で俳句の分類をしているよ。この病床の私は」。

明治31年(1898)の作。正岡子規(1867~1902)は、この4年後に病没します。

この一首について、多くの解説書は「吉原の太鼓の音が、根岸まで聞こえている」と説明していますが、これは物理的に絶対聞こえません。吉原の夜の始まりを告げる「見世清掻き(みせすががき)」は、百挺を超える三味線であり、大太鼓ではないのです。

やはり子規の耳は、実音ではなく「心音」の太鼓を聞いているのでしょう。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!

関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。