大紀元エポックタイムズ・ジャパン

【歌の手帳】夕立の空

よられつる野もせの草のかげろひて涼しくくもる夕立の空(新古今

歌意「猛暑の夏日。激しく照りつける太陽のため、乾いた野原の草が、よじれるように葉を巻いていた。そこへ雨雲がにわかに広がり、地上に陰をつくる。ひんやり涼しく曇った、夕立まえの空である」。

西行(さいぎょう1118~1190)の歌。野にある草の葉の形態を、これほど細やかに描写した例は、和歌としては過去になかったのではないかと思われます。

一方「自然描写は十分だが、抒情性には欠ける」という、辛口の批評もできるかも知れません。同じく西行の歌「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」のような「あはれ」は表題の歌にはないようですが、正岡子規の「写生」の先行例とも言えましょう。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!

関連記事
世界中の美しいカフェ10選を巡る旅へ。歴史と芸術、文化が交錯する特別な空間で、至福の一杯を味わいませんか?
吉祥寺マルイにて、台湾が誇る漢方食材や東洋の叡智を感じられる商品を販売します。さらに、台湾ならではの味を楽しめ […]
インドの若きモデルマネージャーが語る、ファッション業界で輝き続ける秘訣。「真・善・忍」の実践がもたらす内面の美と成功への道とは?
リンゴには健康をサポートする多彩な効能が詰まっています。日々の健康を手軽にサポートするリンゴの驚くべきパワーとは?美味しくて栄養満点、毎日の食事に取り入れたいリンゴの魅力をご紹介します。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。