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【歌の手帳】はちす葉の

葉(はちすば)のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく(古今集

歌意「蓮の葉は、泥の濁りに染まらない清らかな心をもっている。なのに、なぜその葉の上に置く露を玉のように輝かせて、人をあざむくのだろう」。

僧正遍照(そうじょうのへんじょう816~890)の作。俗名を良岑宗貞といい、小野小町に恋しました。側近として仕えた仁明帝が崩御した850年に、出家して遍照となります。

小倉百人一首』にもある遍照の歌「あまつかぜ雲の通ひ路吹き閉じよ乙女の姿しばしとどめん」。なぜ僧侶でありながら「天女の舞姿がもっと見たい」などと詠ったか。以前から不思議だったのですが、これは出家前の作でした。

出家後は、表題の歌のように、やや理屈っぽい歌風になります。

(聡)

 

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