2021年6月17日、中国甘粛省の酒泉衛星発射センターから、有人宇宙船「神舟12号」を搭載した「長征2号F遥12」運搬ロケットが打ち上げられた。イメージ写真(Kevin Frayer/Getty Images)

中国国有企業幹部、85歳の学者ら2人に暴行 学会の入会推薦巡り

国有企業である中国航天科技集団(CASC)傘下の投資会社のトップ、党書記兼会長である張陶氏(57)は先月、国際学会への入会推薦をめぐって、85歳の女性を含む専門家2人を殴り、重傷を負わせた。3日、暴行映像と報道がネット上で拡散され、大きな話題を呼んだ。

複数の中国メディアによると、張氏は6月6日、自社の宇宙投資に関する報告を口実に、国際宇宙航行アカデミー(IAA)の会員2人を招いた。夕食の席で、張氏は2人に、自分がIAAに入会する際の推薦者になってほしいと頼んだ。IAAは、1960年に宇宙開発のパイオニアたちによって設立された権威ある国際アカデミーである。

出席した学者の一人は、初対面では張氏の業績を知らないので、後でゆっくり考えたいと答えた。しかし、張氏はこの反応に激怒し、学者を殴り始めた。もう一人の先輩女性学者は、この状況に驚き、すぐに部屋を出ようとした。

ネット上に流出した監視カメラの映像によると、同日午後10時半頃、張氏と会社の部下が2人の学者を外に連れ出し、エレベーターに乗る前に張氏が突然2人を殴り始めた。暴行は30分ほど続いた。

暴行を受けた55歳の男性、王晋年氏は、2016年にIAAの会員となり、2017年にIAAの議長団に選出された。もう一人、85歳の女性学者である呉美蓉氏は、2014年にIAAの最高賞であるフォン・カルマン賞を受賞した。

現在、2人の専門家は重傷を負い、入院している。

最新の情報によると、世論の圧力を受けて、CASC社は4日の声明で、調査に協力するために張氏が停職中であることを発表した。しかし、事情に詳しい関係筋によると、事件後、地元警察が捜査に介入したが、まだ結果は出ておらず、張氏は今も通常通り仕事をしているという。

報道によると、中国共産党員で博士号取得者の張陶氏は、現在、CASCの子会社である中国航天投資控股有限公司(CAIH)の党書記兼会長を務めている。CAIHは2006年に設立され、登録資本金は120億人民元(約2060億円)、運転資本金は2240億人民元(約3.8兆円)。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
湖南省株洲市の湘江で、ウイルスサンプル収集用試験管が大量に発見され、住民たちは感染リスクに怯えています。当局は「未使用で損傷はなく、ウイルスは検出されなかった」と発表しましたが、専門家や市民の間で疑問の声が広がっています。試験管の正体や流出の経緯について調査が進む中、不安は収まりません。病院も研究所を信用できないのは間違いない。中国ではコロナが収束していないというのは、こういうことなのか?
米司法省は最近、IR事業をめぐり日本の政府関係者に賄賂を渡すよう指示して、中国企業のCEOを海外腐敗行為防止法違反の容疑で起訴した。
ニセモノ摘発も命がけ、道徳低下した中国社会。中国福建省の展示会で、偽商品の摘発を目的とするインフルエンサーが暴行を受ける事件が発生しました。「福建鉄鉄」のカメラマンが問題商品を通報したことがきっかけで、出品者らから集団暴行を受けたとされています。この事件は、中国SNSやメディアで大きな注目を集めており、現在、市場管理局と公安当局が調査を進めています。偽商品撲滅の活動が招いた事件の経緯とその背景に迫ります。
19日、中国江蘇省連雲港市にある国有企業「中国化学工程第十四建设有限公司」の正門前で、ある女性が滞納された給料の支払いを求めて会社管理者の足に抱きつき泣き叫ぶ姿が撮影されました。この動画はSNSを通じて拡散され、多くの人々に衝撃を与えています。女性の訴えに耳を貸さない企業の対応と、中国社会で頻発する同様の問題に、ネット上では悲しみと怒りの声が相次いでいます。「惨め過ぎる」労働者の姿。官製メディアが宣伝する「盛世(繁栄)」中国のリアル。経営者が人間なのか? 人間であれば、会社をつぶす決意をして、会社財産を売って、給料を支払うはずだが。
湖北省武漢市で、配達食注文に対するクレームが原因で、配達員がナイフを持って客の家に押し入ろうとする衝撃的な事件が発生した。監視カメラには、ドアを内側から押さえる家主と、外でナイフを振り上げながら脅す配達員の姿が記録されている。この事件をめぐり、SNSでは中国社会のストレスや労働環境への懸念が噴出。「極限状態にある人々の行動は予測不能」といった声も広がっている。 至るところに「火薬庫」の中国、言動を慎まないと、いつどこで殺されるかわからない。