中国河南省の被災地、市民らが海外メディアの取材を妨害 洗脳で外国を敵視か

中国・河南省で発生した洪水被害を現地取材する海外メディアが、地元住民から妨害を受ける事件が複数、起きている。市民らは記者を取り囲み、「中国を妖魔化しようとしている」と批判した。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、共産党の洗脳によって「町中に外国を敵視する市民がいる」と指摘した。

インターネットに掲載された映像の中で、ある外国人記者が住民に囲まれ、「どこのメディア?」「CNNじゃないだろうな」などと問いただされ、「偏向報道している」と批判される様子が映されている。

囲まれた記者が「ドイチェ・ベレの者だ」と身分を明かした後、市民らの態度は少し落ち着いてきたように見える。ある男性が「報道してもいい」と態度を軟化したが、「ただし、中国をポジティブに報道してください」「我々を攻撃するな!」と報道に条件をつけた。

記者がこの男性に取材をしてもいいかと尋ねると、男性は一度、了承したが、その後突然「取材はダメだ。私は…あなたなんか嫌いだ」と取材を断った。

RFAの記事によると、ドイチェ・ベレのほか、米CNN、英BBC、米ABCなどの海外メディアも同様に今回の河南省の洪水について取材活動中、市民による「自発的」な妨害を受けたという。

市民らは、取材活動の妨害をしながら、外国メディアが「故意に中国をけなして悪いイメージを植えつけている」「偏向報道している」などと非難した。さらには撮影された映像を検閲すると要求したという。

RFAは、「中国共産党の洗脳により、政府当局が海外メディアを監視しなくても、町中に外国を敵視する市民があふれている」と指摘した。

中国河南省鄭州市で最近、深刻な洪水災害が発生した。同省は、25日正午時点で全省の死亡者は63人、行方不明者は5人と発表した。

しかし、行方不明の親族を探す情報がSNSに多く書き込まれていることから、実際の犠牲者数は当局が公表した数字より多いとみられる。

 

(翻訳編集・李凌)

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