8月2日、東京・有明の体操競技場で開催された東京2020オリンピック競技大会10日目、女子床運動決勝に出場した村上麻衣選手。銅メダルが獲得。 (Photo by Adam Pretty/Getty Images)

チャーミングな村上茉愛に銅 ゆかの演技評価は男女に違い、五輪100年の伝統

8月2日に行われた東京オリンピック体操の個人種目別「ゆか」で、村上茉愛(むらかみまい)が銅メダルを獲得した。エネルギーに満ちた演技と、競技後のチャーミングな笑顔は、観衆を元気にさせてくれる。じつは、この体操の「ゆか」は、女性と男性で求められるパフォーマンスに違いがある。大きな点は、女子は音楽に合わせて演技するが、 男子には音楽がない、ということだ。

CNNの報道によると、この理由は約1世紀前にさかのぼる。女性体操選手が初めてオリンピックに出場し、競技規則が制定された。男子体操選手がオリンピックで初出場したのは1896年。それから30年以上を経て、1928年のアムステルダム大会から女子の体操競技も行われるようになった。

体操の専門家によると、当時は女性アスリートへの期待は男性とは違っていた。女子の体操は優雅さとバランス、美しさを求めるものとされている。現在でも、女子体操の「ゆか」には、音楽に合わせて振り付けを行う要素が欠かせない。

スミソニアン博物館のジェーン・ロジャース(Jane Rogers)館長によると、1910年代から1960年代にかけて、激しい運動は女性には良くないと考えられていた。「妻や母となる女性に、激しい運動はすすめられない」と医者も考えていた。

元国際体操選手のジョージア・サービン(Georgia Cervin)氏は、当時、男性の自由体操の動きは力強さを強調するものとされると説明した。

長年来、競技の中で使われる音楽も年々進化している。ジョージア・サービン氏によると、1960年代の体操競技では、楽器は1つしか使えないというルールがあったため、参戦チームは自らのピアニストを連れてきていた。その後、1980年代からカセットテープの使用が認められ、体操選手が競技で使用できる音楽の種類も増えた。

しかし、音楽には歌詞が含まれてはならないというルールは変わっていない。「歌詞のある曲が認められないので、体操選手がヒット曲で踊ることはあまりない」とジョージア・サービン氏は言った。

米国体操男子のバイスプレジデントであるジェイソン・ウッドニック(Jason Woodnick)氏は「採点するときは、女子体操アスリートの芸術性、音楽性と振付を重視し、男子体操はテクニックで採点するので、芸術的な要素を入れない」と述べた。

ニュー・ハンプシャー大学の女子体操ヘッドコーチであるリンゼイ・アヨッテ(Lindsey Ayotte)氏は、「男子の場合、体操のゆか運動は音楽に合わせてはいけないことになっている。「男子体操にはダンスの要素がないので、音楽はいらない。彼らの動作は、主に宙返り転、跳躍技をベースにしているので、音楽を使うという選択肢はない」と述べた。

「ゆか」は体操競技における男女器械種目の一つ。弾性をもった12メートルの正方形のゆか面で演技を行う。男女それぞれの競技時間も異なり、男子選手は70秒、女子選手の競技時間は90秒となっている。

(翻訳編集・蘇文悦)

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