タリバン、数日中にアフガン首都到達も 米大使館は機密情報廃棄を指示
[カブール/ベルリン/パリ/コペンハーゲン/オスロ 13日 ロイター] – アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが急速に勢力を拡大し、首都カブールに迫る中、欧米各国による文民退避や大使館閉鎖が相次いでいる。
タリバンは13日も進撃を続け、同国第2の都市カンダハルと第3の都市ヘラートを制圧。米政府高官によると、タリバンが数日以内にカブールに到達する可能性があるという懸念も台頭しているという。
米国防総省の報道官は13日、「現時点でカブールは差し迫った脅威にさらされていないものの、カブールを孤立させようとしていることがタリバンの動きから見て取れる」と述べた。
ロイターが確認した通知書によると、カブールの米大使館は職員に対し「大使館内にある機密情報を減らす」ために文書や電子機器などを廃棄する焼却炉の利用が可能と伝えた。
米国務省の報道官は「米国のフットプリントを最小限とする」通常の手続きと説明した。
ドイツのマース外相は、カブールの独大使館の職員を最小限に減らし、セキリュティを強化すると発表。さらに、大使館職員や現地の支援スタッフらの国外退去に向けて月末に計画していたチャーター機の派遣を前倒しする方針を示した。
フランス外務省もアフガンに滞在する仏国民に対し、できる限り早い時期に出国するよう改めて要請した。
デンマークとノルウェー両国は、現地の治安情勢悪化を踏まえ、カブールの大使館を閉鎖し、職員らを退避させると発表した。
米国と英国も12日、大使館職員ら文民の退避のため数千人の軍部隊を派遣すると発表した。
国連は職員をアフガンから退避させないとしつつも、一部職員を国内でカブールから別の地域に移動させる方針を示した。
グテレス国連事務総長は「軍事力行使による権力掌握に勝ち目はない。内戦の長期化もしくはアフガンの完全な孤立化にしかつながらない」とし、タリバンに対し即時攻撃をやめるよう呼び掛けた。
アフガンのサレー第1副大統領はガニ大統領が議長を務める安全保障会合後、政府軍の能力を評価し、政権がタリバンに対抗するためにあらゆる手段を講じると表明した。
また、治安筋によると、北大西洋条約機構(NATO)は13日に緊急会合を開催し、アフガンの情勢悪化を巡り協議した。