若い父親と「肉の容器に入れられた息子」
台中市のある町の日常風景。
表通りに面した道端に、豚肉を売る露天の店があった。
人の良さそうな若い男性が、一人で店をやっている。
平台には豚肉のブロックがいくつも置かれ、客の注文に応じて切り売りしていた。
その傍らの地面に置かれていたのは、長辺が60センチほどのプラスチック製の赤い容器。
おそらく、もとは豚肉を入れて運ぶ箱であろう。
しかし、その赤箱に入れられていたのは豚肉ではなく、1歳ほどの男の子だった。
まだ十分に歩けるほどではないので、箱のなかで、おとなしくしている。
完全に自分の世界である赤い容器のなかで、男の子は、体を折ってすやすやと寝ている。
目を覚ませば、その可愛らしさで道行く人々を引きつけて、大変な人気者になる。
豚肉を売る若い男性が、その子の父親である。
母親がいないのではない。
母親は病院の看護師をしているため、勤務シフトに入っている日は、こうして父親が「息子を箱に入れて」自分のそばに置いているのだ。
ベビーシッターを頼むことは、経済的な理由で難しいという。
そんなことよりも、この父親は、まだ小さな息子が大好きで、大好きで、気も狂うほど愛していたから、どうしても自分のそばに置きたかった。
なかには、箱に入れられた子供を見て、心を痛める通行人もいた。
しかし父親は、人目に触れることなど、どうでも良かったのだ。
どこかのテレビ局が取材に来たが、普段通りのまま、勝手に映させた。
それが、今年の初めのこと。
あれから数か月がすぎた。男の子は、野を跳ねとぶ小動物のように、爆発的に走り回るようになった(だろう)。
その後日談は伝えられていないが、確実なことは、この息子は、今も、これからも、両親を心から愛する人間であるということだ。
(翻訳編集・鳥飼聡)
関連記事

健康的とされる甘味料「エリスリトール」が、実は血管や脳に悪影響を及ぼすかもしれないという研究結果が発表されました。

関節炎、がん、認知症、うつ…。「治らない」とされてきた慢性疾患が、生活習慣の改善で“逆転”した症例が続々報告されています。諦めずに、希望の声を信じて。

玉ねぎは冷蔵庫に入れると逆に傷みやすい?風味を損なわず長持ちさせるには「温度・湿度・包装」が鍵。知らないと損する保存術をご紹介します。

目の疲れや体の不調に効く「行間」のツボをご紹介。高血圧やストレスを和らげ、肌の輝きも取り戻せるセルフケア法を今すぐ試して、心身のバランスを整えましょう!

唐の時代、雪に包まれた上苑で女帝・武則天の心は曇り、冷えた空気がその憂いを深めていました。彼女はその心情を詩に込め、明朝に百花を咲かせるよう命じるのでした。