8月24日、気候変動は西欧における豪雨被害の発生確率を少なくとも20%上昇させているとの研究結果が発表された。イタリア北部、コモ湖畔のラーリオで、豪雨で起きた土砂崩れの現場(2021年 ロイター/Flavio Lo Scalzo)

西欧の豪雨被害、発生確率が20%上昇 気候変動が要因=民間研究

[マドリード 24日 ロイター] – 気候変動は西欧における豪雨被害の発生確率を少なくとも20%上昇させているとの研究結果が24日、発表された。先月には豪雨によりドイツやベルギーで洪水が発生し、死者が出ている。

報告は、科学コンソーシアム「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」が公表した。

それによると、この地域の降雨の激しさも、気候変動のため、地球の気温が産業革命前より1.2度以下の上昇にとどまった場合に比べて19%高まっている可能性がある。

英オックスフォード大学の気候科学者でWWAの共同リーダーであるフレデリケ・オットー氏は、「温暖化が進めば豪雨被害は確実に増加する。極端な気象現象は命にかかわる」と述べた。

近年は極端な気象現象が相次いで報じられ、気候変動がどの程度関与しているかを正確に判断するよう科学者らに求める圧力が強まっている。

科学者らは、昨年だけで、米国の干ばつ、死者を伴ったカナダの熱波、シベリア北極圏の森林火災が気温上昇で悪化したことを突き止めている。

7月12─15日に欧州全域を襲った豪雨は洪水をもたらし、住宅や電線が流されたほか、ドイツを中心に200人以上が死亡した。ベルギーでは数十人が死亡、オランダでは数千人が自宅からの避難を余儀なくされた。

英インペリアル・カレッジ・ロンドンのグランサム研究所に所属する気候科学者、ラルフ・タウミ氏は、調査にはかかわらなかったが、「世界で最も富裕な地域で人命が失われているという事態は実に衝撃的だ。安全な場所はない」と述べた。

調査にあたったWWAの39人の科学者は、地域の降雨パターンは変化しやすいとして、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、スイスに及ぶ広範囲な地域を分析。地域の気象記録とコンピューターシミュレーションから、7月の洪水と、世界が気候変動の影響を受けていなかった場合の状況を比較した。

その結果、空気が温暖になるほど湿度が高くなることから、この地域の夏季の豪雨は温暖化がない場合より3─19%多く、発生確率は1.2─9倍(20─800%)上昇していることが分かった。

WWAは、予測幅が大きいのは過去の記録がないことが一因と説明し、河川の状態を監視する装置が洪水で破壊されたことも状況を悪化させたと指摘した。

調査にかかわっていないポツダム気候影響研究所の科学者・海洋学者ステファン・ラームストーフ氏は、それでも「調査は地球温暖化が洪水被害の大きな原因となっていることを示している」と指摘。先に公表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書に言及し、「これは、極端な豪雨が世界的に増加しているとのIPCCの報告と一致する結果だ」と述べた。

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