台湾、人材流出の防止に法改正 技術者は中国渡航前に審査必須
台湾政府は、中国にハイテク技術が渡ったり、人材が流出したりする問題に対処するため、関係者の出国手続きを厳格化させる。改定された条例によれば、公的補助金を受けた技術者や企業は、中国渡航前に申請が必要で、審査当局の承認を経なければならない。
台湾の対中国政策を担当する大陸委員会は8月21日、同委員会のホームページで「台湾地区與大陸地区人民関係条例」(両岸人民関係条例)の第9条と第91条を改正すると発表した。条例改正の公告期間は9月22日に終了。今後は立法院に提出し、審議入りする見通し。
改正内容によると、政府から一定基準の補助金を受け取り、国防、外交、科学技術、情報および大陸事務などの関連機関で国家核心技術に関わる技術者ら、民間団体、法人などは、中国渡航前に出国申請をしなければならない。申請後は内政部、国家安全局、法務部、大陸委員会および関連当局からなる審査委員会による審査・承認を受けることになる。
また上記の該当者のなかで、委託・補助の終了後、あるいは離職から3年未満の者が、審査を受けずに中国渡航した場合、200万元以上1000万元以下の罰金を科される可能性がある。さらに、帰国の報告義務に違反した場合、その技術者の委託先または補助を行った機関は2万元以上10万元以下の罰金を科すと規定されている。
改正にあたり、大陸委員会は、国家間の経済競争力を保つため、政府の委託や国家の核心的な技術に関わる人材の大陸移動を規定しなければならないと説明した。
台湾、中国への人材・企業秘密の流出に警戒
研究開発戦略センター(CRDS)の調査によると、中国は近年、半導体産業の規模を短期間で拡張したため、人材不足に陥っている。これを解消するために、中国大陸の企業は4倍〜5倍の給料で台湾の優秀な技術者を引き抜いている。このため、台湾の人材流出が進んだ。
これを受けて、台湾国家安全局から立法院への報告では、近年判明した海外勢力による技術スパイ事件の大半は中国が関与していると指摘し、「中国共産党の目的は経済的な利益だけでなく、台湾の貧困化・弱体化という政治的な意図もある」と警鐘を鳴らした。
台湾経済部も報告書で、中国は台湾の人材を「引き抜く」とともに台湾産業の「企業秘密を取得する」と警戒感を示した。
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(大紀元日本語編集部)