米国各地で、新型コロナウイルスワクチンの未接種者が職を失う恐れが出てきている。写真は15日、ワシントン州エバレットにあるボーイングの施設でワクチン接種要求に抗議する従業員たち(2021年 ロイター/Lindsey Wasson)

米各地でワクチン未接種者が失業危機、州や企業の義務化加速が背景

[19日 ロイター] – 米国各地で、新型コロナウイルスワクチンの未接種者が職を失う恐れが出てきている。州や自治体、民間企業の間でワクチン接種を義務化する動きが広がっていることが背景にある。

直近ではワシントン州立大学が18日、フットボールチームのヘッドコーチとアシスタント4人を解雇した。州のワクチン接種要求に従わなかったためだ。このヘッドコーチは今月、宗教上の理由から接種義務の適用免除を申請していた。

シカゴやボルチモアなどでは数千人の警察官や消防士が、数日中に接種完了を報告するか定期的な陰性証明の提出を求められている中で、失業の危機にさらされている。シカゴの場合、ライトフット市長と警察官の組合がこの問題を巡って対立。組合側は、市職員へのワクチン強制に反対の姿勢を打ち出した。1万2770人に上る市職員のうち、15日の期限までに接種完了を報告しなかったのは3分の1ほどで、その一部は休職処分となった。

ライトフット氏は18日、「基本的にこれは命を救うという話に尽きる。安全な働き場所の生み出せる機会を最大化するということだ」と述べ、ワクチン強制に反対している組合を「反乱をけしかけている」と強い口調で非難した。

航空機大手ボーイングの従業員ら約200人は15日、同社が12月8日までに12万5000人の従業員にワクチン接種を要求したことに対する抗議活動を開始した。この要求は、バイデン政権が連邦政府と取引がある企業に発出した命令に基づいている。

これとは別に、バイデン政権が100人以上を雇用する民間事業所に適用するためのワクチン接種命令の施行細則も間もなくまとまる見通しだ。これにより連邦政府職員、政府取引企業と合計すると、米国の労働者のおよそ3分の2に当たる1億人前後がワクチンを接種しなければならなくなる。

既に医療業界では解雇の動きが広がっている。ワクチンを接種せずに仕事を辞めた看護師や医療従事者はロイターに、米国で使用されている3種類のワクチンについて長期的なデータがまだそろっていないことへの不安を、どうしても看過できなかったと打ち明けた。

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