EU首脳、移民対応で合意に至らず 欧州委に提案取りまとめ要請
[ブリュッセル 22日 ロイター] – 欧州連合(EU)首脳は22日、欧州に流入する移民・難民問題への対応を協議したが合意に至らず、執行機関である欧州委員会に提案を取りまとめるよう要請した。
この日の協議でオーストリアのシャレンベルク新首相は「移民・難民問題の圧力は軽減していない。むしろ増大している」とし、EU域外との境界線の警備厳格化が重要になると主張。防護柵の設置やドローン(小型無人機)を利用した警備を主張しているリトアニアに支持を示した。
これに対し、欧州委のフォンデアライエン委員長は「欧州委、および欧州議会は、鉄条網と壁(の建設)に予算を振り向けない姿勢をこれまでも長らく明確に示している」と述べ、反対を示した。
国連の統計によると、地中海経由で欧州に到着した移民・難民の数は今年は約5100人にとどまっているが、数千人がベラルーシ経由でEU域内に入った。
EUの国境管理機関、フロンテックスによると、全てのルートを通してEU域内に入ろうとした移民・難民の数は年初から合計13万4000人に達し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同時期と比べ約50%増加した。
EUは、ベラルーシがEUに圧力をかけるために自国経由でEUに移民・難民を送り込んでいると非難。フォンデアライエン委員長は記者会見で、EUは対ベラルーシ制裁の強化を模索しているとし、「ルカシェンコ政権に圧力を掛け続ける」と述べた。
リトアニアのナウセーダ大統領は、ベラルーシが「武器」として利用している移民・難民の圧力に対抗するために、物理的な障壁が必要と主張。一方、ルクセンブルクのベッテル首相は、一段の制裁措置を導入するのではななく、ベラルーシ、およびロシアと協議を通して解決を模索する必要があるとの考えを示した。
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