(mama_mia / PIXTA)

疲れの原因は「体内の湿気」どうやって排出しますか?

現代人は「湿性体質」が多い、と言われています。

これは漢方医学からの診方(みかた)で「湿」とも言いますが、いずれにしても体内に滞留する水分が過剰になって、体調不良を起こしている状態です。

 

「体内の湿気が多いとき」にでる症状

「いくら寝ても寝不足を感じる」「とにかく体が重くて疲れやすい」「湿疹が出やすい」。

こんな症状が見られたら、それは湿性体質(痰湿体質)が原因であるかもしれません。

ただ、体内の湿気が多い原因は食習慣が関係していることが多いので、多くの場合、食事療法で改善することができます。

湿性体質の特徴には、以下のものがあります。

1、体調に現れる症状:「疲れやすい」「いつも睡眠不足を感じる」「特に重労働していないのに、朝の起床時から(あるいは昼過ぎから)体が重いと感じる」

2、皮膚に現れる症状:「手指の股、手のひら、足指の股、足の裏に汗疹が生じる」「小さな水疱ができる」「それが徐々に乾燥し、皮がむけて、繰り返し水疱ができる」

3、四肢に現れる症状:「足がむくみ、腫れる」「とくに女性は、手足が冷たく、下腹まで水につかっているような感じがする」

4、腸に現れる症状:「食欲がない」「少し食べただけで満腹になる」「食事をしたあと、お腹が張って消化しにくい」「便が軟らかく、排泄しにくい」

5、生殖器に現れる症状:「女性の場合、分泌物が多くなり、生殖器から尿路に感染が起こりやすくなる」「男性の場合、股間のかゆみ、排尿時の灼熱感が出やすい」

 

湿性体質をまねく「3つの食生活」

以下の3つの食生活は、体内に湿気をためて症状を悪化させます。

1、 冷たい食物をよく食べる

毎日冷たい飲み物を飲み、冷たい野菜、体を冷やす瓜類、レタスサラダをよく食べると、脾臓と胃の機能が低下します。脾臓が弱まって体内の水を動かす能力が低下すると、体内の湿気が一層たまってしまいます。

健康的に見えてカロリーが低いレタスサラダは、ダイエット中の人に好まれていますが、かえって痩せられない原因になっているかもしれません。市販のサラダは冷蔵保存しているものが多く、レタスやキュウリなどの冷たい野菜が使われていることがサラダの寒性を増しています。

もしもあなたに湿性体質の症状があったら、脾胃(脾臓と胃)の働きを鈍らせる冷たい食物は、なるべく控えてください。

2、 揚げ物を好む

揚げ物や焼肉は、一般に体を熱くします。湿性体質の人が揚げ物を好んで多く食べると、どうなるでしょうか。

例えば、熱いフライドチキンを食べながら冷たいドリンクを飲むと、体内の湿気と食物の熱気が混じって、湿熱体質になります。

湿気が抜けないところへ熱い食物が入ってくるため、湿気が熱を包んでしまうのです。

体の熱が発散されず、このような場合は水を飲んでも渇きが取れません。

3、 時には「あんかけ」も要注意

中華料理に多い「あんかけ」は、炒めた具材に水溶き片栗粉でとろみをつけて、ご飯や麺にかける料理法です。この「あんかけ」も、胃腸が悪い患者が食べるとのぼせることがあり、胃酸が逆流することもあります。

このような食物は脾臓にも損傷を与えるため、痰を生み、痰湿体質になりやすいと言えます。

なお、ここで言う「痰」とは、気管支から吐き出される一般的な痰だけでなく、「体内にたまった不要な水分全般」を指します。

 

どのように改善していくか

上記のような「原因となる食生活」を、努めて改めるようにしましょう。

また、季節や天候も湿性体質を悪化させる要因となります。

暑い夏には、よく生の冷たい食物を食べたり、揚げ物を食べながら冷たい飲料をガブ飲みしたりします。

特に、室内でクーラーを強くかけて、テレビを見ながらそうした飲食をとることが多いものです。外の暑さのため、運動も控えるでしょう。

そうすると、ますます体内の湿気が放出されにくくなります。これが夏場に感じる疲れの主な原因です。

雨の降りやすい季節、あるいは雨の日は、外の湿気が体内の湿気を引き寄せて、外湿と内湿が混ざり、さらに不快な状態になります。

基本的なこととして、水分補給は代謝を促進します。お茶は、利尿作用もあって飲みやすい上、脾臓にも良く、体内の湿気もよく排出します。

通常は、常温の水、温水(ぬるま湯)、白湯(さゆ)を、ゆっくり飲みます。糖分を多く含む市販の飲料は、ぜひ避けてください。

野菜は総じて「冷たい属性」のものが多いです。生で食べると体を冷やす瓜類(例えばゴーヤやキュウリなど)は炒めて食べるのが一番良いでしょう。体を温める生姜またはクコを入れて、寒性を減らすこともできます。

運動の習慣を身につけて、体内の湿気を逃がすようにすることをお薦めします。

 

湿気の症状を改善する「黒豆茶」

昼に生姜湯を飲んで汗をかくこともできます。このような温性の飲み物は脾臓を醒まし、胃を健やかにして体内の湿気を散らすのに役立ちます。

最後にもう一つ、湿気の症状を改善する「黒豆決明子大麦茶」を、ご紹介しましょう。

材料は黒豆10g、決明子(ケツメイシ)5g、大麦5g。

この三つの材料を、油をひかないフライパンで炒りつけ、カップに入れた後で、熱いお湯を注ぎます。

黒豆は脾臓を健やかにし、腎臓を補い、体内の余分な水分を排出させます。

ケツメイシは利尿、補肝、散風熱(風熱を散らす)の効能があります。

大麦は熱を下げ、脾臓を健康にし、熱当たりや食欲不振を改善する効能があります。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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