もしも、あなたの体の代謝が糖に大きく依存しているなら、あなたの健康に重大なマイナスをもたらす恐れがあります。(Tero Vesalaine/Shutterstock)

「人はなぜ、午前3時に目が覚めるのか」

外はまだ暗い午前3時。なぜ、望みもしないのに目が覚めてしまうのでしょうか。

消せないほど多い「現代のストレス

もしもあなたが、そんな悩みをお持ちであったら、肝臓の状態を整え、新陳代謝を調整することで、夜中に目が覚めるのを防ぐことができます。

確かにこれは、多くの現代人を悩ませている現象かもしれません。

明け方の中途半端な時間に突然目が覚め、イライラする人もいます。そのまま1、2時間は、再び眠りにつくことができないので、朝起床しても、よく眠れていない不満感が残ります。

漢方医学では、生命エネルギーが体内を循環する際、2時間以内でピークに達すると考えています。それは臓器によって担当する時間が区分されており、午前1時から3時までは肝臓の時間、つまり肝機能が最も活発にはたらく時間なのです。

さて、漢方医学(東洋医学)と西洋医学には、ここで明確にしなければならない重要な区別があります。

東洋医学のカルテに臓器名を記載するとき、西洋社会で開業している漢方医は大文字(肝はLiver)を使います。それは漢方医学が指す臓器は、その器官だけでなく、身体、思想、感情、精神の全体的な関係を総括した概念として理解されるからです。

これに対して、漢方医が「肝臓(liver)」と小文字で表記した場合は、西洋医学における肝臓と同じく、その器官を生理学的にとらえていることを意味しています。

 

人の臓器は「感情も扱う」

東洋医学と西洋医学、どちらも人体を対象としていますので、両者の認識にはもちろん共通する部分もあります。

肝臓を例にして言いますと、漢方医も西洋医も「体内の有毒物質を除去する機能がある」と認識しています。

ただ、これに加えて東洋医学では、「肝臓にはネガティブな思考や感情を一掃する役割もある」というように、臓器が精神面に及ぼす機能も併せて考えるのです。

午前3時は、肝臓が担当する「シフトの仕事」が終わる時間です。

一方、現代はストレスにあふれた社会ですので、わずか2時間のなかで肝臓がいかに頑張っても、全てのストレスを解消できないことがあるのです。

数日前あるいは数週間前からの心配事が、奇妙なほどリアルな夢の中で何度も起こります。

そのため、夢は夜明け方が鮮明です。それが解決されない心配事ばかりだとすると、これだけで目が覚めてしまい、動悸がして眠れず、脳に休息を与えない「負のスパイラル」に陥ることになります。

 

「脂肪を燃焼する」

西洋医学の肝機能に対する理解は、これらの現象を説明する別の視点を提供しています。

肝臓は、食事間の代謝を維持するための燃料源としてグリコーゲンを貯蔵します。これにより、約12時間分のブドウ糖が肝臓から血中に供給されますので、代謝が順調であれば、睡眠中にわざわざ起きて食事しなくても問題ありません。

ただし、新陳代謝がその燃料を糖に多く依存している場合、この間の血糖値低下によって体のストレス反応が引き起こされ、下垂体から血糖値を上げるためのホルモンであるコルチゾール(ストレスホルモン)が分泌されます。

この血糖値の低下が、午前3時に目を覚ます夜間覚醒の根本原因です。

これは肝臓が、「体と心の老廃物」を必死で解毒しながら新陳代謝を促す上で、より多くのエネルギーを必要としているサインなのです。

早く目が覚めてしまう人は、新陳代謝で脂肪を燃焼させる効率が悪いのかもしれません。その場合、少量のハチミツが安眠を誘う食物になります。(Shutterstock)

早く目が覚めてしまう人は、新陳代謝で脂肪を燃焼させる効率が悪いのかもしれません。その場合、就寝前にとる少量のハチミツが、あなたの安眠を誘う食物になります。

ただ、冒頭で申しましたように、肝心なのは肝臓の状態を整え、新陳代謝を調整することです。

まず、あなたの長期的な目標は、毎晩寝る前に、炭水化物のお菓子を食べないことです。

さらに、生活や仕事の各方面でストレスを軽減するよう努めて、夜間のコルチゾール高騰を防ぎます。

その上で、自身の代謝をタンパク質や脂肪を燃やすモードに切り替えます。夜間の体を、脂肪を燃やすモードに適応させることができれば大成功です。

東洋と西洋の医学の粋を活かして、どうぞ今夜は、深く安らかな眠りをお楽しみください。

(文・Brandon LaGreca/翻訳編集・鳥飼聡)

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