とろみのあるお粥は、脾胃の消化吸収によく、胃腸のエネルギーを養い体力をつけることができます。(Shutterstock)
とろみのあるお粥は、脾胃の消化吸収によく、胃腸のエネルギーを養い体力をつけることができます。(Shutterstock)

白粥は高麗人参スープと同等の健康効果

昔の人は粥を「天下第一の強壮剤」と呼んでいました。濃厚な白米粥の上澄み液は、高麗人参のスープに匹敵する滋養効果があるそうです。

濃厚なお粥は高麗人参湯のようなもので、胃腸を丈夫にし、体力を増進させます。

古代の人は、粥は身体にとても健康的だと知っていましたが、当時は栄養価の高そうな茸粥や鶏粥、海鮮粥ではなく、白米の濃い粥の上に上澄み液(粥油、米油ともいう)が載っているものでした。

よく煮て、白い米粒を完全に溶かした濃厚なおかゆは、脾胃でよく消化吸収されます。漢方医によると、濃厚なお粥は胃腸を養い、体力をつけ、発汗と解毒を促し、気を益し、乾きを潤し、陰と腎の精を養うことができるそうです。

清朝の医家、王世雄の『中国飲食文化叢書』には、濃厚な米のスープが高麗人参のスープに匹敵する強壮効果を持つと記されています。昔、貧乏人が虚症(体力の衰え)で弱っているとき、高麗人参の汁の代わりに濃厚な米の汁を飲むと回復したといいます。

漢方医の葉啓民氏は、「病気になると病院に行き、点滴をしてブドウ糖を摂取する人が多いのですが、一杯のおかゆが最も自然な形でブドウ糖を摂取できることを知らないのです」と語りました。

点滴で体内に注入されたブドウ糖はすぐに吸収されますが、脾臓や胃は働きません。逆に、濃いめのお粥を飲むと、すぐに栄養が補給でき、腸が少し動くので、腸の運動不足解消にもなります。

高齢者、妊婦、病人などは、濃厚なお粥を飲むのに適しているのです。お粥は胃潰瘍の人の胃を守るために、また女性の気血の流れを整えるために良いとされています。

ただし、胃食道逆流症の患者さんはおかゆを食べない方がよく、特に汁物のご飯のようにとろみがないと、水を飲みすぎるようなもので、酸の逆流を引き起こす可能性があります。胃食道逆流症の患者さんは、濃厚なお粥を食べるにとどめ、食べ過ぎないようにしましょう。

 

濃厚なお粥の上に、米油(粥油)と呼ばれる上澄み液の層があります。(Shutterstock)

朝はお粥を食べる時間に最適で、胃腸を温め、邪気を排出します。

お粥を食べるのに最適な時間帯は、朝です。朝、一杯の温かいお粥は、胃を温めるだけでなく、消化にもよく、病気や邪気を取り除く効果もあるそうです。葉啓民氏によると、朝の粥は体にエネルギーを与え、邪気を排出することができるといいます。

粥はその有効性と普遍性から、人々の生活に溶け込みやすく、医者が粥の摂取を奨励するだけでなく、古代の文人たちも健康のために粥を好んで飲んでいたそうです。

70歳まで長生きする者は昔からきわめて稀ですが、宋の時代に85歳まで生きた文学者の呂侑は、お粥を飲むことを最高の生きがいとしていたそうです。お粥が大好きで、「お粥を食べる」という詩の中で、「神様になるためにお粥を食べるだけだ」と記しています。

お粥は濃い米粥だけでなく、きのこと鶏の粥、野菜の粥、ピータンの粥、五穀粥など、具材を入れることもあります。栄養成分だけでいえば、具を加えた粥のほうが栄養価は高いですが、やはり脾胃の消化吸収に左右されます。体が弱っているときは、脾胃の負担を増やさないように、濃いめの米粥をメインにするとよいでしょう。

(翻訳・志水慧美)

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