就寝中に、脚部が筋肉けいれんを起こすことがあり、睡眠の妨げになっています(Shutterstock)
就寝中に、脚部が筋肉けいれんを起こすことがあり、睡眠の妨げになっています(Shutterstock)

なんとか防ぎたい「就寝中の筋肉けいれん」

昼間、ジョギング中などに足がつってしまうのは、単に運動による疲労が原因であることが多いものです。

しかし夜、ベッドに寝ていて突然ふくらはぎにけいれん(こむら返り)が起き、激痛で目が覚めるのは、多くの場合、全く別の原因によります。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

これにはいくつかの要因が考えられます。昼間デスクワークで長時間椅子に座っていたり、逆に、その日に限って外部での業務が多く、足の筋肉が酷使されたりすると、その日の夜に就寝した後もけいれんしやすくなります。

また、過去にアルコール依存症であった人、日中に十分な水分補給をしていない人、パーキンソン病や糖尿病の患者、筋肉を制御する神経系の病気がある人も、夜間に足がつってしまうことがあります。食事が偏っていて、ミネラル不足の人も同様です。

病気ではありませんが妊娠中の女性も、こむら返りはよく起こります。

これは妊娠によって体重が増加し、脚への負担が大きくなっていることと、胎児の成長のために、カルシウムやマグネシウムなどの血中ミネラルが不足しがちなことが原因です。

 

「こむら返り」が起きても慌てないでください。地面や寝台に座って足を伸ばし、足先を手でつかんで筋肉をゆっくり伸ばします。(Shutterstock)

では、夜間に足がつる「こむら返り」が起きたとき、どうしたらいいでしょうか。

まずは慌てず、落ち着いて以下のようにしてみてください。

1、床や寝台に座って足を伸ばし、足先を手でつかんで筋肉をゆっくり伸ばします。足先まで手が届かない場合は、タオルやスカーフで補助します。

2、立ち上がって寝室内を数歩あるきます。歩きながら両足の筋肉をほぐします。

3、親指で痛む個所を押さえてマッサージし、患部の血行をよくします。

4、毛布や布団をゆるめて、脚を圧迫しないようにします。

5、可能であれば、マスタード(芥子)をスプーン1杯食べます。マスタードには酢酸が含まれており、筋肉けいれんを軽減するアセチルコリンの生成を促します。

 

マスタードは、筋肉けいれんを軽減する化学物質アセチルコリンの生成を促します。(Shutterstock)

就寝中に起きる足のけいれんは辛いものですので、できるだけ予防しましょう。

寝る前に軽いストレッチをして、筋肉をほぐします。また、足をお湯の入ったバスタブに入れて温めるか、けいれんしやすい筋肉に温湿布をします。

女性の場合、可能であれば、日中はハイヒールを長時間履かないでください。

もちろん、上記の方法があまり効かず症状が続く場合は、医師の診察を受ける必要があります。いずれにしても、普段から自己予防に気をつけていれば、病院にかかったり、鍼治療を受けたりする必要はないかもしれません。

(文・Louise Bevan/翻訳編集・鳥飼聡)

関連記事
「フクロウとキリギリス」の物語で学ぶ、甘い言葉やお世辞が真の賞賛とは言えないという教訓。イソップ寓話の魅力とともに、道徳的な価値を感じてみましょう。
清明の季節は「肝」の働きが高まり不調も出やすくなります。今が旬の菜の花は、肝の熱を冷まし気の巡りを整える優れた食材。簡単に取り入れられる養生レシピとともに、春の五行養生をご紹介します。
年齢とともに増える抜け毛や白髪。実は日々の食事で改善の余地があります。髪に必要な7つの栄養素と、中医学が教える髪と内臓の深い関係について解説します。
長年うつ病に苦しんだ女性が、薬ではなく「精神修養」によって回復。絶望の中で見つけた“希望”が、人生を根底から変えた──その実例と、科学的裏付けとは。
中医学では、緑内障の原因を「怒りや憂うつ」「代謝機能の低下」「夜更かしによる精の消耗」など全身の気血の乱れとして捉え、漢方や鍼、体操で改善を図ります。