夜食を食べることの本当の「怖さ」は、肥満ではなく、睡眠に悪影響を及ぼすことです。(Shutterstock)
夜食を食べることの本当の「怖さ」は、肥満ではなく、睡眠に悪影響を及ぼすことです。(Shutterstock)

「夜食の怖さ」は肥満だけではありません

夕食をとる時間もないほど忙しく、遅い時間まで会社で残業をしている人は多いですね。

ようやく帰宅したら、もう深夜。そんな時、お腹が空いているあなたは「夜食」を食べますか。

「夜食の怖さ」は睡眠の妨げになること

「お腹が空いて、何か食べないと眠れない」

そのように思い込んでいる人も、きっと少なくないでしょう。

これに対して、「夜食は肥満を招く原因であるから、食べないほうが良い」という意見もあります。確かに肥満の原因にもなるのですが、実は「夜食の本当の怖さ」は肥満ではないのです。

夜食をとると、その夜は確実に「睡眠の質」が低下します。

寝る前の胃に食物を入れると、胃もたれしやすく、寝付きが悪くなり、眠りが浅くなります。夜中に起きてトイレに行く回数も増えます。

このような夜が続くと、よく眠れていない状況が重なることになります。それが長期にわたると、昼間の記憶力が低下する、仕事中にイライラするなど情緒不安定を招くことになります。さらには、実際に心血管疾患や肥満、メタボリックシンドロームなど、健康上の問題を引き起こすことになるのです。

したがって、夜食をとることは原則的にお薦めできませんが、栄養補給のために、どうしても食べる必要がある場合は、睡眠の質に影響を与えないことを十分考慮してください。

注意点は、以下の6つです。

1、水分の多い食事は避ける

水分が多いと、就寝後にトイレに行く回数が増えてしまいます。

2、「胃で膨らむもの」は避ける

揚げ物や多すぎる肉類など、胃もたれしやすく、胃内で膨張する食物は避けてください。

3、刺激性の食物は避ける

ピリ辛の熱い食物など、刺激性の強いものを多く食べると、交感神経が刺激されて眠りにくくなります。

4、甘い菓子類は避ける

スイーツやケーキなどの甘い物は控えてください。これらの食物は胃酸分泌を刺激し、胃食道逆流を起こします。

5、量を少なくする

夜食は量が多くてはいけません。たくさん食べて横になって寝ると、胃の内容物が食道に戻りやすくなります。

6、就寝直前の食事は避ける

就寝の2~3時間前であれば、胃の内容物は消化され、睡眠に影響しにくくなります。

夜食は「軽食」にしましょう

もしも、夜間まで延長して仕事する予定のある人は、日中の3食をきちんと摂るとともに、食事の間隔を長くせず4~6時間ほどで固定するようにしてください。こうすることによって、夜に夜食を食べても、量を少なく抑えることができます。

夜食は「軽食」にして、胃への負担を極力減らします。

深夜に近所のコンビニに行った時、商品棚の食べ物を見て、どれを選びますか。

小パックのお粥、レタスサラダ、三角サンドイッチ、ヨーグルトの小カップ。このような軽食ならば、眠りにつく前の胃に大きな負担をかけません。

パンは餡なしが良いですね。粒あん入りやカスタードクリーム入りのパンは、甘すぎて夜食にはお薦めできません。

ナッツ類は、少量であれば夜に食べても問題ありませんが、胃にガスがたまるのを防ぐために多く食べることは避けてください。

新鮮なフルーツやゆで卵1個などは、夜食に向いています。ヨーグルトも、満足感を得られる上、プロバイオティクスが豊富ですので胃腸に良い食品です。

カップラーメンは、夜食としてはお薦めできませんが、食べるならノンフライ麺に限ります。スープは残したほうがいいでしょう。

ヨーグルトは満足感が得られる上、プロバイオティクスが豊富ですので、夜食に向いた食品です。(Shutterstock)

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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