台湾では近年、乳がんの若年化が進んでいます。自身の健康に関心をもち、適切な予防と早期発見に努めることが求められます (Khosro / PIXTA)

若年化する「乳がん」その予防と早期発見のために(1) 若年化する乳がん患者

台湾では近年、乳がんの若年化が進んでいます。

進む「乳がん」の若年化

先日、台湾で人気のタレント、朱芯儀さんが乳がんに罹患したことを公表しました。

今年36歳の彼女のがん細胞は、すでにリンパに転移しており、現在積極的な治療を受けています。

台湾を含め、アジア地域では乳がんが若年化する傾向があります。

現在医学界は、その確実な原因を発見していませんが、乳がんの発症を可能な限り予防する方法はあります。

世界保健機関の最新の資料によると、2020年における乳がんは、がんの発生率の第1位となっています。

台中病院の放射線腫瘍科主任、廖志穎氏によると、「欧米諸国では乳がんの発生率が高いが、患者がやや高齢で、ほとんどが閉経後、50歳以降に発症しています。これに対して東アジア、特に台湾では、乳がん患者の発症年齢は40歳から50歳が多く、30歳から40歳のひとでも、その割合が増える傾向にあります」と言います。

 

若年化の理由は、まだ不明

現在分かっている乳がんの危険因子としては、「初経が早い」「閉経が遅い」「避妊薬の使用」「出産経験がない」「肥満」「環境ホルモンとの関係」などが指摘されています。

廖志穎氏によると、若い乳がん患者は確実に増えており、女性の乳がん患者は20代から30代までいると言います。ある若い女性患者は、出産後の授乳時に乳房内の腫瘍が見つかりましたが、発見が遅かったため、すでにステージ3に進んでいました。

現在、医学界は乳がん若年化の確実な原因をまだ発見していません。遺伝子の特殊性によるのか、それとも環境因子によるのか、いくつかの可能性的な要因しか考えられないのです。

そのうち、遺伝的要素は可能性のある因子の一つと推測されていますが、がん患者に占める割合は高くありません。一般的に、正常な細胞のがん化は、後天的因子が強いと考えられます。

発がん因子は多種多様

ストレスは、もともと発がん因子です。過度のストレスによって、体が炎症を起こしたり、細胞の遺伝子が変異してがん化したりします。

欧米の女性に比べて、アジアの女性は仕事と家庭を両立しなければならないなど、より大きなストレスを抱えている傾向があります。30歳から40歳の女性の多くは、職場、家庭、育児に追われており、そのストレスはかなり高いと言えます。

適切でない生活習慣も、発がん因子になります。夜更かしや夜勤が多い、あるいは昼夜逆転した生活は、職業によってはやむを得ない場合があるとしても、がんを発症しやすいと言わざるを得ません。廖志穎氏によると、旅客機の客室乗務員はリスクの高いグループの一つだと言います。

不健康な食事も危険因子の一つになります。赤い肉(獣肉)、高脂肪、高糖質の食品は、乳がんの発症率を上昇させます。

糖分の多い飲料を頻繁に飲むことも、乳がんの発症率を高めます。(Shutterstock)

環境ホルモンの影響

環境の問題としては、汚染された空気も、乳がんを含む各種がんの発症率を上げると考えられます。

肥満や体脂肪過多の人も、乳がんになる確率が高くなります。廖志穎氏は、体脂肪が30~40%を超える女性は、乳がんリスクが高まると指摘します。

上記のようによく知られている発がん因子のほかに、最も見落としがちで重要な発がん因子の一つが「環境ホルモン」です。

内分泌攪乱物質である環境ホルモンは、私たちの日常生活のなかにあふれています。

その一例として、農薬、洗剤、スキンケア用品、プラスチック製品、芳香剤などに多く含まれているとされます。

可塑剤入りのプラスチック食器を使ったり、屋台で調理したばかりの熱い食べ物をビニール袋に入れて持つことは、環境ホルモンを摂りやすくしているいようなものです。

女性の立場で言うならば、持続的な香りを放つシャンプーやボディソープ、スキンケア製品などは欠かせません。

しかし通常、これらの製品は、香りが強く、長持ちすればするほど、可塑剤の含有量が多くなっています。これは、香りをつけるフタル酸エステルが可塑剤だからです。

フタル酸エステルは、使用者の皮膚を介して吸収されます。それらは代謝によって体外に排出されますが、日常生活で接触する機会が多いため、長期的には有害となります。

女性が食事や日用品から環境ホルモンを吸収しすぎると、乳がんのリスクが高まります。(Shutterstock)

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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