オーブンは便利な調理器具ですが、使い方を誤ると火災や容器の爆発を招きますので、十分な注意が必要です。(Shutterstock)

今夜はオーブンを使って特別料理「でも、6つの点に注意して」

日本でよく耳にするオーブンレンジ(oven range)は和製英語だそうです。

その名前の通り「オーブントースター電子レンジ」の機能が一体化した家電製品は、やはり外国よりも、主として日本で普及しています。

オーブンに関係する使用上の注意点を、以下にお話ししたいと思います。

ただし、そもそも日本では、オーブンについての歴史も文化も、西洋社会とは全く異なっています。これからご紹介する台所の風景も、日本のそれとはだいぶ違いますので、その点、多少の違和感があることはご容赦ください。

オーブンとは、日常的にパンクッキー、あるいはピザなどを焼く習慣のある国、または感謝祭のごちそうで七面鳥を丸焼きにする食文化の国でよく使われる調理設備です。

要するにオーブンとは、強い火力の熱源によって予め温められた石の窯(かま)のなかに食材を入れ、その窯が発する熱や赤外線の作用で調理するという、日本人から見ればかなり大がかりな仕掛けです。熱源は、もとは薪や炭火でしたが、今日では欧米の家のキッチンでも、ガスや電気が主流になっています。

これは直火で魚を焼いていた江戸期以前の日本には、全くなかった調理法です。

当然、日本人の家の台所には(たとえそれが大名や豪商の屋敷であっても)オーブンという設備は存在しなかったのです。

明治期になってから、西洋人の職人によるパンや洋菓子が日本に入ります。

そこで日本人は、初めてオーブンという陶芸以外の焼き窯文化を知りますが、以来100年間ほどは、日本人でも専門のパン職人や料理人でなければ、オーブンを日常的に使うことはありませんでした。

昭和の中期を過ぎて、ようやく「家庭用オーブンレンジ」というものが家電アイテムのなかに登場します。ちなみに、ニクロムの電熱線で食パンを焼くトースターは、普及してはいませんでしたが、戦前からありました。

そこで、やっと本題に戻ります。

オーブンを使用する上で、注意すべき事項は以下の6つですが、これらは日本の家庭用オーブンレンジ(オーブントースターも含めて)にも該当しますので、ぜひご覧ください。

 

1 オーブンに使用できるペーパーを使う

結論を先に言うと、オーブン料理に使用できる「クッキングシート」「ベイキングシート」「ベイキングペーパー」「オーブンシート」だけを使い、他の種類のシートは絶対に使用しないということです。

いろいろな名称があって紛らわしいのですが、台所でよく見かけるワックスペーパー、キッチンペーパー、クッキングペーパー、キッチンタオルなどは、いずれもオーブンでは使用できません。

この場合の「使用できない」とは、おいしい料理ができないという意味ではなく、発火の危険があるから「使用禁止」ということです。

サケ(鮭)のオーブン焼きに使用するシート(紙)は、必ず耐熱性の十分な専用シートを使ってください。(Shutterstock)

2 オーブン専用のガラス容器を使う

食材をガラス容器に入れてオーブンで調理するときは、耐熱性にすぐれ、熱衝撃(温度差の衝撃)にも耐えられる専用のガラス容器を使ってください。

またガラス容器への加熱は、必ず常温からスタートします。

冷凍庫や冷蔵庫にあったガラス容器を、そのままオーブンへ移すことは、たとえ熱衝撃に優れた容器でも、破損の危険性が高まります。

ガラス容器を使用するときは、必ずオーブン専用の容器を使います。(Shutterstock)

3 食物の残渣は除くこと

オーブンでアップルパイを焼くとき、パイが膨張してメリメリと音がしたり、ポンとはじける破裂音が聞こえたりすることがあります。そんな時はパイの下にもう1枚、金属プレートを入れたほうがいいかもしれません。

とくに油脂や砂糖が含まれている食材は、オーブンで加熱中に燃えやすいのです。

これらの食材が吹きこぼれてオーブンの底に落ちると、焦げて煙が出ることにより食品の風味が損なわれるだけでなく、発火することもあります。

オーブンを予熱しているときに、内側をよくチェックしましょう。前回の料理の残滓などがあったら、必ず取り除きます。

ケーキやパイを焼くときは、吹きこぼれや飛び散りを防ぐため、皿の下に金属製の浅いプレートを敷いてください。(Shutterstock)

 

4 プラスチック容器やラップは使えない

冷凍食品の多くは、電子レンジで加熱できるプラスチック容器に入っていますが、それをオーブンに入れて「焼く」ことはできません。

オーブンの設定温度がどんなに低くても、プラスチック容器は耐えられず、なかの食材も調理できないのです。同じ理由で、電子レンジでは使用できるラップも、オーブンには使えません。

これは、プラスチック容器やラップが高温に耐えられないだけでなく、溶けた化学物質が食物を汚染するためでもあります。

電子レンジで使用できるプラスチック容器でも、オーブンでは使用しないでください。(Shutterstock)

5 濡れた布や手袋は使用しない

オーブンから、高温に熱せられたオーブン皿を取り出すとき、濡れた布や濡れた手袋を使用しないでください。

濡れた布や手袋で高温のプレートに触ると、その水分が一瞬にして熱い蒸気になり、手や指を火傷してしまいます。

オーブン専用のシリコン製の断熱ミットを使って、慎重に取り出しましょう。

シリコン製の断熱ミットを使って、慎重に取り出しましょう。(Shutterstock)

6、必ず解凍してからオーブンへ

大きな塊の冷凍食品を解凍せず、そのままオーブンに入れて加熱すると、その料理は失敗します。

一部の冷凍食品、例えばチキンナゲットや冷凍ピザなど、厚みのないものは解凍せずにオーブンで加熱できます。

しかし、感謝祭のメインディッシュにする七面鳥などは、主に冷凍で売られていますが、必ず解凍してからオーブンで焼かなければなりません。

そうしないと、表面だけ焼けて、火が通っていない部分が内部に残ります。せっかくの七面鳥なのに、不注意がもとで食中毒を起こしてはいけません。

感謝祭の冷凍七面鳥は、必ず解凍してからオーブンで焼かなければなりません。(Shutterstock)

 

(翻訳編集・鳥飼聡)

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