ウクライナ駅砲撃、民間人死傷に非難相次ぐ クラスター弾使用か
[キエフ 8日 ロイター] – ウクライナ東部ドネツク州のクラマトルスクで8日早朝、ロシア軍の侵攻から逃れようとする人々で混み合う鉄道駅がミサイル攻撃を受け、子ども5人を含む少なくとも50人が死亡した。
ドネツク州のパブロ・キリレンコ知事は、同駅に命中したのはクラスター弾を搭載した「トーチカU」短距離弾道ミサイルだったと述べた。同地域からの列車による避難は継続するとした。
クラマトルスク市長によると、駅には女性や子ども、高齢者など4000人程度がいたという。
ロイターは事実を確認できていない。
クラスター爆弾の使用は2008年に禁止されたが、ロシアはこの条約に署名していない。
米国防総省高官は、ロシアの関与否定は信じられないとし、キリレンコ知事はミサイルの種類を正しく特定しているとの見方を示した。
RIA通信によると、ロシア国防省は攻撃への関与を否定。攻撃に使われたミサイルはウクライナ軍しか使用していないと指摘し、ロシア軍は8日にクラマトルスクへの攻撃を指示されていないと説明した。
一方、ゼレンスキー大統領はフィンランド議会でのオンライン演説で、攻撃当時、駅にウクライナ軍はいなかったと言明。ロシアは民間の鉄道および民間人を攻撃対象にしたと強く非難した。
クラマトルスク市長によると、犠牲者の中には腕や足を失った人々もいるという。
<欧米からの非難相次ぐ>
ミサイルの残骸の側面には「(これは)子どもたちのため」と書かれていた。ロシアは何年にもわたり、ウクライナが東部の親ロシア派地域で民間人を殺害したと非難してきた。
このメッセージについて、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「血も凍るような振る舞いは類を見ない。信じ難い」と激しく非難した。
同委員長は8日、民間人とみられる遺体が多数発見されたウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊のブチャを訪問し、ロシア軍の「残酷な顔、無謀で冷淡な行動」が明示されたと述べ、ウクライナへの支援を確約した。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表とウォレス英国防相も、この攻撃を非難。米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は「ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を犯しているという証拠が増えている」と述べた。
また在ウクライナ米大使館は、ウクライナでのロシア軍による「新たな残虐行為」とし、「世界はロシアのプーチン大統領の責任を追及する」と言明した。
米国務省のポーター報道官も8日、記者団に対し「この残虐行為に恐怖を覚えている」と述べた。